RA.390 Deepchord

  • Published
    18 Nov 2013
  • Filesize
    208 MB
  • Length
    01:30:35
  • ダブテクノの枠を超えるアーティスト
  • Share
  • Rod Modellはダブテクノのレッテルが貼られがちなアーティストだ。90年代後半から活動しているデトロイト出身の彼は、ソロ名義、あるいはSteven HitchellとのEchospaceやcv313といった名義を通して、ダブテクノのどんよりとしたアトモスフェリックなサウンドを追求する作品をリリースし続けて来た。だが、Basic Channel周辺の作品に影響を受けたのは明白だが、Modellはダブテクノの伝統に縛られることなく、毎回作品をリリースするたびに常にフレッシュで最先端なものを提示してきた。 近年、Modellは今まで以上にハイペースに進化を遂げている。アムステルダムとデトロイトを行き来する彼は、驚くほど過去に興味が無く、特に自身の音楽に関して振り返るのを嫌う。ほぼビートレスだったDeepChord名義の最新のアルバム『20 Electrostatic Soundfields』は、今までで最も実験的な作品であった。RA.390での彼は狂気を帯びており、ミックスの内容は新しくもありDeepChordらしくもある、奇妙で夢のようなブリコラージュになっている。 まずは近況報告をお願いします 丁度アムステルダムからミシガン州に戻った所だ。数ヶ月ここで休暇を過ごして、それからまたオランダに戻る予定だ。ここ3、4年ぐらいアムステルダムとミシガンを行き来しているんだ。制作でいうと、ここ最近は曲を作るよりサウンドデザインに集中しているんだ。今はサウンドデザインのほうが重要な気がしている。エレクトロニック・ミュージック界においてサウンドデザインは25年ぐらい遅れてると思うんだ。皆が古いアナログシンセに拘りすぎてるせいだと思う。最先端の技術よりも1970年代の死んだシンセサイザーがまたひとつ甦生されるのを皆望んでいるんだ。進歩を妨げる音楽だ。 制作環境について教えてください CDJとミキサー、アウトボード・フィルター/FXを使用してミシガンでレコーディングしたんだ。 ミックスのコンセプトについて教えてください 最近はテクノやダブといった音楽からどんどん離れていて、15年前に好きだったものにまたハマってるんだ。もう3年ぐらいテクノのレコードは買ってない。家では40年代/50年代の音楽とか、フィールドレコーディングを聴いてるんだ。エレクトロニック・ミュージックは全体的に停滞しているように感じる。ここしばらく革新的な新譜を聴いていない。もちろん例外もあるが、あまりに数が少なすぎる。このミックスは、以前に箱に入れて仕舞ってあった古いCDを最近発見して聞き返している時に作ったものだ。前の家から今の家に引っ越して来た時に箱に入れたんだ(今の家には9年ぐらい住んでる)。あまり深く計算されたものではなくて、ただ今一番気に入ってるものをミックスに入れただけさ。最近こういった昔のお気に入りをまた聴くようになって、現行の当たり障りの無い、方程式に沿ったつまらない音楽が聴けなくなってしまっているね。 以前、最新作は素早い“音の彫刻”のような楽曲ばかりだと発言していましたが、これはどういう意味ですか? 『20 Electrostatic Soundfields』の曲はもともとリリースする予定はなかったんだ。ちょっと前から映像を撮るようになっていて、こういった実験的な映像に音楽をつけたいと思って制作したんだ。それが『20 Electrostatic Soundfields』の収録曲だ。だからこれはもともとサントラなんだ。動画に合わせて素早く制作した。ダンスフロアは意識していなくて、特定の感情を映像を観ている人に抱かせるためにだけ作り上げたサウンドデザインさ。シーケンスは組んでいないからオーガニックだ。最低限の機材のみで制作したんだが、解放的に感じたね。スタジオ・モニター、キーボード、ループマシン、エフェクターのみを置いた部屋で、2トラック・レコーダー (Alesis Masterlink) に録音したんだ。パソコンもマルチトラックも無しだ。直感的に感じた通りにやって、あまり深く考えたりオーバーダブを後から加えたりしなかった。頭の中にアイディアが浮かんだら、何回か練習して、録音ボタンを押して本番だ。『20 Electrostatic』の大部分はこうやってできたんだ。 アルバムのピクチャーディスクバージョンにはご自身が撮った写真が使用されていますが、写真に関してはどういうことにフォーカスしていますか? 写真を撮ることの目的は、自分の好きな空間を撮って保存しておくことだ。それは5歳のころに初めてカメラをもらってからずっと同じだ。人だとか物の写真は嫌いだ。風景を撮るほうが好きだが、それは別に美しい景色という訳ではない。例えば汚かったり、変だったり、抽象的なシーンを午前3時に捉えるのが好きだ。夜の写真を撮る事が多いね。昼間に写真を撮る事は少ない。あまり観光客がこないような場所が好きだ。観光地は客人向けの表の顔であって、その場所の本当の姿ではないように思う。映画のセットみたいなものさ。ピクチャーディスクの1面にはアムステルダムの歓楽街、裏面にはミシガン州の俺の家のそばのビーチの写真を使っている。どちらも友人がたくさん住んでいて、俺が一番落ち着く場所なんだ。 今後の予定は? 面白い観点の新しい音楽を模索している。すでに作ったようなものは2度と作りたく無い。創作の上で意味の無い行為だし、マンネリしてしまう。進化して成長しなくては駄目だ。また『Coldest Season』や『Lumin』などを作ることは容易いけど、面白く無い。新しいアルゴリズムを形成することが大事だ。使い古された方程式に沿って制作している時間がもったいない。最近、お気に入りの機材をあえて仕舞って、あまり使い慣れてない古い機材なんかをスタジオに置いてみたんだ。こうすることで何が生まれるのか、見てみようじゃないか。慣れていることは捨てて、居心地の良い場所に留まらず、DeepchordにもEchospaceにも聴こえない新しいサウンドを作り出そうと思ってる。