Sounding off: 音楽キャリアの形成

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    Mon, May 16, 2011, 10:58
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    Resident Advisor
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  • 今週のトピックは、自分の音楽キャリアをどう形成していくか。
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  • 誰でもレコードを作れる時代になっている。機材の値段も毎年下がりつつある。20年前では何千ポンドもしたDAW(デジタルオーディオワークステーション)も、今では数百ポンドで、リリースできるくらいの曲を作るのに充分な機材を揃える事が出来る。 しかし、多くの人が安い機材で質の良い録音する時代、一番大切なものは、自分が作りあげた‘商品’だ。昨年の終わりにかけて、僕はイギリスのロンドンにて、音楽団体が開くセミナーに参加した。そこでは色々なトピックが扱われており、アーティストの権利やセルフリリースをするアーティストへのアドバイスまで様々だ。 僕の印象に残ったトピックは、プロデューサーTommy Dによる発言、「音楽で成功するためには、創造力だけではなく、マーケティング力、そしてビジネス力が同等に必要だ」というものだ。ちょっとした事が成功失敗の大きな要因になってしまう、例えて言えば、一切れケーキが足りないだけでホールケーキとは呼べないと言うこと。僕は彼の言葉にとても考えさせられてしまった。果たして曲に費やす2倍もの時間を、ビジネスそしてマーケティングに注ぐ事ができるのか? そんな人はどう考えてもあまりいないだろう。プロデューサーとして活動し始めの頃、目標はただスタンダードなレベルに近付くことだ。そのスタンダードレベルに達成してしまうと殆どの人が次に、自分自身の音楽スキルをあげる事だけに一生懸命になってしまう。 しかしある程度すると、他者の反応が気になってくる。しかしどこから始めたら良いか分からな人も多いだろう。 自分の制作する曲によって方向性も変わってくるだろうが、もし自分の音楽を多くの人に聴いてもらいたいというならば、かしこいマーケティングは必要不可欠なものであろう。現実的に見て、新しい音楽がどんなメジャーレーベルにあったとしても、売れるなどという機会は少ない。まず第一に、健全なインディペンデントレーベル・シーンが存在することだ。もちろん、セルフリリースする際でも費用はあまりかからない。これには、デジタルラジオ、ケーブルテレビそしてウェブ上でのチャンネルのお陰で様々な媒体に知らせる機会は増えてきた。 まず最初にしていただきたい事。5人アーティストを挙げてみよう。そして彼等の作品を一体何処で聴いたのか覚えておくことだ。ラジオやTVのキャンペーンという事もあるだろうが、若者はオンライン上で見つけることが多い。 自分の興味を掻き立てるものは何だろう?疑いの予知もなく、レコードの質は言うまでもないが、ではその他何があるであろうか?ビデオ?オシャレなアー写?念入りに作られたfacebookのファンページ?Twitterでのキャンペーン?定期的にファンに送信されるメーリングリスト?様々な媒体が考えられる。 次に、自分のお気に入りのアーティストがファンに対してどのようなサービスを提供しているのか確認してみよう。自分のリビングルームで演奏してくれるなんて事はないだろうけど、例えば見に行ったイベントの翌朝に彼等からのメール、そこには昨夜演奏されていた未公開音源が添付されていたら、どうだろうか?または、ウェブサイトのニュースレター読者限定の曲なんていうのも魅力的だ。リミックスのコンペティションの企画もおもしろい。アーティストの音源を自分でリミックスして、コンペティションの勝者は、次回のリリースのB面レコードを飾るなんていうものなんかも面白そうである。ファンとアーティストとの会話を、色々な形で作ることだ。 これらはわずかな提案であるし、とても地道な作業でもある。しかしイベント一回ごとにファンが10人増えるとすると、最終的に驚く程の人に自分の音楽を知ってもらえることになるのだ。自分が市場にどういったアプローチをかけるかというのは、どういった音楽を作るかという事と同じくらい大切である。ファンとの会話の架け橋を見つければ、それと平行して自分が世にでる確立も増すのだ。
RA