Carl Craig - Just Another Day

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  • 厳密にはEP形式であったものの、2004年にリリースされた「Just Another Day」においてCarl Craigが見せたコンセプチュアルでよどみの無い未来主義はまるでミニアルバムにも匹敵する濃密な内容だった。そこに収められた4曲のトラック(今回の再発に際して、"Sandstorm"の新たなエディットヴァージョンが加わっているので正確には5曲だ)が現在をもってなおも衝撃的に聴こえる理由は、本来無機物であるところのマシーンが出すノイズがかくも激しく人間の感情という部分を揺さぶるのかという点にほかならない。ポスト黙示録的であり不確実性に満ち、言語化できない不安定さを内包したムードが支配するこのEPは、まちがいなくテクノではあるのだが同時にその形式的な窮屈さはまったく感じさせない。 EPのオープニングを飾る"Twilight"におけるゆっくりとしたメロディは2005年にRichie HawtinがリリースしたミックスCD『DE9: Transitions』で使用されたあらゆるトラックの中でも最も印象的な瞬間を提供していた。その柔らかで穏やかに鳴らされるブリープはまるで恭順さゆえに失われた愛を物語っているようだ。より緊張感漂う"Darkness"でのシンセはピンと張りつめていて、サイファイ的なエフェクトは壁が迫ってくるような感覚もあり、脅迫的ですらある。そんなムードも、次の "Sandstorm"でのスムーズでディープな感触によって安堵に変わる。しかしこの "Sandstorm"を注意深く聴いていると、兵隊が隊列を組み、生暖かい砂漠の風に吹かれながら憤然と進んでいるようなサウンドが聴こえてくるのがわかるはずだ。穏やかなイントロに導かれて始まる最後のトラック"Experimento"はやがて溶け落ちたプラスティックが泡立つような感覚に満たされる。邪悪で不穏なムードに満たされながらも、この作品は見かけ上の強烈なインパクトは有していないが、テクノの歴史上でも最も衝撃的な作品のひとつであると断言しよう。