Scuba - Adrenalin

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  • 「僕は大声で文句は言わないよ」音楽ジャーナリストがインタビュー記事の中で彼に余計な妄想を抱いていることに対して、彼は数ヶ月前にこうツイートしている。神経質で気難しく内向的な外見のPaul Rose(注:Scubaの本名)の音楽は、ダークなデビューアルバム『A Mutual Antipathy』とそれに堅実に引き続いた『Triangulation』のどちらから見ても、決して声を張り上げて物事を言う人間によるものではないというプロファイリングに通説的にフィットするものだ。しかし彼自身の(レーベル)Hotflushから出た「Adrenalin」はまさにそういう人間がやっているかのような作品になっている。このEPに収められた眩くトランシーな3曲は、結果的には今年のリリースの中でも最も元気のある作品の一つになるだろう。既にリリースされているAus MusicからのSCB名義での「Loss」も今年のダンスフロアーを席巻してきたアンセムだし、Hotflushの(コンピレーション)『Back and 4th』収録の気難しげな”Feel it”もあって、それでこの「Adrenalin」はちょっとした衝撃作になる訳だが、それは(彼が)が方向性を転換したということになるのだろうか? 彼の強力な効果性や作品の隙の無い精緻さに関して言うならば、答えは完全にイエスだ。タイトルカット(の”Adrenelin”)は基本的には”Loss”のパワーを最大限にしたような感じで、慎重に切り貼りされたヴォーカルサンプルが全体を支配しつつ、早めにやってくるブレーク後の盛り上がりも”Loss”よりも大胆だ。然しながらコードをよく聴いてみると彼らしい暗さが俄かに感じられる。とは言うものの、まだまだトラックのピュアなアップリフティング感がそれを覆い隠している。”Never”は、今までに無かった艶っぽいシンセを使ったエレクトロだが、御幣を恐れず言わせて貰うととてもセクシーだ。この新たな作風は”Everywhere”では更に感じられ、エアロビのクラスでも歓迎されそうな80’sスタイルのダンスポップに仕上がっている。もし今までの彼の素晴らしい作品群が無かったら、このスタイリッシュな変化を受け入れるのは難しいかも知れない。