Zenker Brothers - Berg 10

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  • Zenker BrothersはIllian Tapeレーベルの看板でもあるのだが、普段は兄弟それぞれがソロで活動している。しかしこの「Berg 10」と題されたEPを聴くにつけ、この兄弟は今後もっと頻繁に共同作業していくべきだという印象を強くした。タイトル・トラックはシンプルでありながらもこのレーベルの過去のリリースではついぞ聴くことの出来なかったリズムのスイングぶりが印象的だ。10人ぐらいの人がそれぞれタイミングを合わせずに手を叩いているような感覚もある。そこからわき上がってくるメロディは冷水器の上で無数の泡が浮かび上がってくるようなイメージを喚起させ、リスナーを高いところへ連れて行く。オーケストラ的な展開もあるが、これは聴いてのお楽しみ、と言っておこう。 プロモ用のインフォ・シートに書いてある文言をそのまま信じるならば、"Inti"はこの兄弟が最初に飼っていた犬の名前だそうだ。このトラックを聴くにつけ、その犬は明らかに下品なヤツであったに違いない。じわじわと広がり続けるストリングスは、中盤になって2つのノートで鳴るベースラインがのっそり顔を覗かせるとにわかに輝きを増す。Manuel Turも過去にやっていたように、早いアタックで鳴らしたスネアは効果的にトラック全体を勢いづけている。いっぽう、うってかわって"Studio"というトラックはそうしたトリックは皆無だ。中盤ではサウンドはまさに渦を巻き、ファンキーなベースラインが断続的にカットアップされる。スタジオでのライブジャム、もしくはわざとそれっぽく作ってるのだろうか?真相はともあれ、このトラックは彼らが現在作り得る最良のディープさとタフさを持ち合わせたテクノ・トラックであることは確かだ。