Lawrence - Timeless

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  • Lawrenceは才能あるプロデューサーとしてすでに広く認知されているが、意外なことにこれが彼にとっての初めてとなるオフィシャルなミックスCDだ。過去10年にわたり、彼はハンブルグのDialやSmallvilleクルーの一員として非常にエモーショナルなドイツ産ディープハウス・サウンドを押し進めてきた。しかしこの『Timeless』とタイトルが打たれたミックスCDを聴くと、もちろん彼と近しい存在のDial / Smallville周辺アーティストたちのトラックも収められている一方、このミックスにおいて本当のディープさを与えているのは実はDial / Smallville周辺以外のアーティストたちのトラックであるという事実が非常に興味深くもある。 1時間ほどのこのミックスは、まずLawrence自身のトラック"Floating"で幕を開ける。徐々にテンポに乗せながらミックスされていくのは、Melchoir Productionsによる2004年リリースのストリップ・ダウン・トラック"Zukunft in English"だ。Morphosis "Silent Screamer"がミックスされてくるあたりまでは、比較的ストレートなグルーヴを辿っていくが、このMorphosisのトラックがプレイされる前後がこのミックスにおけるハイライトと言えるだろう。ミックス全体のトーンは、このトラックを境としてその前後で大胆に色合いを変えていくのだ。Morphosisのトラックはたしかにそれまでのムーディな流れを色濃く引き継いではいるが、彷徨うようなベースと小気味よく転がるパーカッションは、その以前にかかっていたSmallpeople & Rauの"Life Aquatic"といったレコードの端正なムードとその後でかかるAril Brikha "On & On"のようなゴリッとした感触のムードを実に上手く橋渡ししている。このあたりはまさにこのミックスのターニングポイントと言ってよく、ここからさらにこのミックスは面白くなっていく。 Isoleeの"Thirteen Times An Hour"はいささかツールっぽく使われすぎているところがあって、全体のムードに照らし合わせるとどことなく不自然な感触が否めない。5分近くにわたってプレイされるPigonの壮大なトラック"Kato"のかけ方も、ちょっと冒険的すぎるかもしれない。Mike Dehnertの素晴らしき "Beatmatching"でようやくグルーヴは元の軌道に戻ってきて、その後Robert Hood、Roman Flügel、Plaidと繋がれてこのミックスはフィナーレを迎える。『Timeless』というタイトル通り、このミックスが時代性を超えた普遍的なものかと尋ねられたら、残念ながらそうではないと答えざるを得ない。でも、Cocoonがイビザ絡みやフェス絡みではないこうしたアーティスティックな路線のミックス(CassyやDinkyなどもそうだ)をリリースし続けていることは評価したいと思う。このミックスは必ずしも徹頭徹尾完璧に作り込まれたものではないにせよ、このCDには昨今のディープハウスにおける最良の部分がしっかりと込められていて、それらが澱みなくブレンドされた好盤であると言えるだろう。