Perc - Wicker & Steel

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  • このアルバムを通して、Perc ことAli Wellのキャリアが更にステップアップしたと言っても過言ではないだろう。2000年初めのデビュー以来、このUKのアーティストは徐々にシングルリリースを発表し、年々彼のアウトプット素材を増やしていった。 Drumcodeのボス Adam Beyerからも当初から注目されており、Ali Wellは後に Chris LiebingのレーベルCLRからもサポートを受けるようになる。彼の名を刻んだ Perc Traxは、創立まもないレーベルStroboscopic Artefactsと平行して走り、近年ではトップレーベルの一つとして評価を得ている。未開拓な部分は、一つだけだった。フルアルバムで、アルバムとしての機能性を越えたものにする事だ。フォーマットを変えずにダンスフロアーの為の曲を越えた何かを作ることは至難の業だ。 ダンスフロアーの為の曲でありながら、その域を越えた作品作りを見事に達成したのが『Wicker & Steel』だ 。Ali Wellが前述したような落とし穴に注意していたのは明らかだろう。一曲目の「Choice」では90年代のバンドSleeperのシンガーLouise Wenerが、彼女の若齢期のことや人生におけるポリシー(哲学)について語っているものをサンプリングしている。ザラザラとした音も感じられるVHSビデオに入ったモノローグを様々な方法で編集することで、Ali Wellはつまらないロンドン郊外での出来事も仄めかしている。 Louise Wener自身のマニフェストにフォーカスをしていない事で、アルバム自体の一貫性、持続性そして多様性を主張した一曲目だ。 期待どおりの出だしから始める今回のアルバム。Burialがロンドンに対して抱くイメージは灰色の霞んだ街であるのに対してAli Wellのそれは、よりアグレッシブなものだ。処理・加工されたテクスチャーが印象強いサウンドであると同時に、どこか大切なヒューマニズムが『Wicker & Steel』の中にあるどぎついサウンドの中に潜んでいるようだ。 「Start Chopping」は、何か大きな物がドシンと地面に叩き付けられたような4トラックの中の一曲だが、男性そして女性を極端なまでに区別したものと表現するのが一番良いだろう。ゆっくりと昇りつめる不快な歪みが最終的には、他のものを驚愕させる。underworldが作るようなサウンドだ。何か不気味でありがながら気分が上がる。 しっかりとしたテーマの中で、Ali Wellは様々な仕掛けを入れている。序盤から中盤に展開されているある種不気味な感じは、去年CLRからリリースした作品「Purple」のようなホラー映画的要素を含んでいる。しかしながら今回はよりビート自体が制御されていて、「Pre-Steel」は完全にビートが捨てられたしまったかのような印象もうける。 身震いするようなシンセサイザー音は、『Wicker & Steel』のアルバムでも重要な要素である。オーバードライブしてしまった激しいスタイルのキック、メタルとコンクリートをアイディアに出来たパーカッション、そして荒れたテンポ、「London, We Have You Surrounded」はPercならではの一曲となっている。非良心的なプロデューサーの手にかかったアルバム全体のイメージを連想させるようなもの。ヒットシングル曲間違いなしだが、それを越えたものになるだろう。