Sónar 2019: Five key performances

  • Four Tet、Holly HerndonやDJ Krushのセットが一際目を引くなか、世界で最も有名な電子音楽の祭典は今年で26年目を迎えた。
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  • 「かつては15年間続けて毎年このフェスティバルに行っていたよ」と土曜日のSónar By Nightに向かう道中のタクシー運転手は話してくれた。「今では大人になったので、こうして働かないとね」と。こうした彼の話は珍しくない。世界で最高峰のエレクトロニック・ミュージック・フェスティバルといってもいいSónarは、それに相応しい根強いファン・ベースが存在する。毎年欠かさないという皆勤の参加者も多く、スペイン在住者のみならず、たくさんのインターナショナルな客層にとって、その年の思い出に残る音楽的瞬間となっている。世界にここまで上手くアヴァンギャルドと快楽的なサウンドとをブレンドさせることに成功したフェスティバルはないだろう。 例年のごとく、今年のプログラムの中でも先鋭的と言える音は、Sónar By Dayに集中していた。Holly Herndon、LoticやLorenzo Senniといったアーティスト達がコンセプチュアルな音を研ぎ澄まされたダンスフロアに持ってくる。一方で、軽快な音楽性のアクトも多く出演した。DJ Krushのベース・ヘヴィーなヒップホップやダブステップから、Perelの80年代感溢れるニューウェーヴなどがその例だ。好奇心旺盛な観客は、Sónar+Dというクリエイティブ・テクノロジーにフォーカスした広大な展示会を見ることも出来た(今年のハイライトは、音楽植物と月旅行のVR体験などを含む)。 打って変わってSónar By Nightでは、今年もFira Gran Viaという巨大なスペースでレゲトンのスーパースターたち、ハウスやテクノ、実験的なアクトの数々がひしめいた。音色やシーンをここまでミックスするフェスティバルは、Sónarの他にないだろう。 会期中、注目を集めた5つのハイライトとなる、キーパフォーマンスを紹介する。
    Holly Herndon: PROTO Holly Herndonの最新アルバム『PROTO』は、AIと人の肉声を織り交ぜ、人間と機械という対比の中でこれらテクノロジーとヒトの関係性を問う作品となった。木曜晩のSónar By Dayのステージで再現された「PROTO」は、これらの問いに具体性を与えるかのようなパフォーマンスだった。シンガーやコラボレーターとアルバムのために開発したAIとを組み合わせる意欲的なこのプロジェクト、その約一時間のステージは、コンサートというよりも実験的な劇を見ているかのようだった。見ている間全てを理解するのは難しいが、思い返し考えさせられる興味深い内容だった。 一番良かったのはAppalachian Sacred Harp(米国ニューイングランドにルーツを持つプロテスタント教派の教会音楽の中で派生した聖歌)の歌い方を想起させる部分で、「PROTO」の中でも扱われている聖歌隊風の音楽は、東テネシー在住時にHerndonが受けた聖歌隊での音楽教育の影響が色濃い。「オートメーションによって人間がステージから追いやられてしまうような未来には住みたくない」とかつてインタビューで語っていたHerndonのパフォーマンスは、難解ながら、その物語は人間味にあふれていた。
    DJ Krush CDJの普及によってラップトップDJを見ることはめっきり減り、赤いSerato盤を2枚使ってスクラッチに勤しむDJ Krushを金曜のSónar By Dayで見て、ちょっとしたノスタルジアに浸った。異なるスタイル間の継ぎ目を特定するのが不可能なほどの滑らかさで変遷し、ヒップホップからプロト・ダブステップに渡る選曲が熟練の手によってブレンドされていく。曲間はスクラッチだったり、数小節にまたがってミックスする転換だったり様々だ。ベースの効いたインストゥルメンタルを中心に、所々でボーカルの入ったヒップホップも聞かれた。スペイン語ラップの曲もあり、彼も合わせて歌っている様子が観客を盛り上げる。20年前、DJ Krushの音は最先端だった。時代は変わったかもしれないが、彼のDJは改めてDJという手法が持つ可能性を印象付けた。
    Perel 前進的な音楽へのフォーカスは、Sónar By Dayが卓越している大きな理由の一つだ。でも、クラブ系のアクトが選び抜かれたレトロな音を聴かせるのを観るのも大いに楽しい。ドイツ人アーティストで、ニューウェーヴやシンセポップをヒプノティックにブレンドした音のプロデュースで知られるPerelは、土曜の晩を彩る、期間中指折りの演奏と言えるライブセットを披露した。彼女の作るトラックが元々持っている曲のストラクチャーは、うねるハウスのビートに置き換えられ、途切れがないといっていいくらいグルーヴが続くセットだった。時折ブレークの隙間を自身の歌で埋め、シンセの濃厚なインストゥルメンタルに重なるのが良い。緩やかに揺れ動くビートはシンプルながら、乗っかる音は常にうごめき、アルペジオやシャープな電子音が飛び交う。1時間のセットの終わりには観客は増え上がり、Perelのセットの魅惑を物語っていた。
    Four Tet Kieran Hebdenの今年スペインでの唯一の登場の機会となったこのギグは、メディアの目を眩ませる、文字通り真っ暗な中でのライブ/DJハイブリッド・セットだった。このセットの会場となった金曜の晩のSonarPubは暗闇と化し、写真撮影を不可能とした。自身のトラック"Planet"と大ヒットの"Only Human"でオープンし、90分間に渡って歓声の観客を虜にし続けた。申し分の無いサウンドシステムから鳴るベースは、ターボ・エンジンのように唸っていた。彼がリミックスしたBicepの"Opal"とKMA ProductionによるUKガラージ・クラシック"Cape Fear"のウケは絶大だった。締めに、"Teenage Birdsong"と彼の最近のシングル"Dreamer"を最後に、ステージを去っていった。すぐさまDJ Kozeに卓が渡されたが、彼が何曲かプレイしたのちに再び"Only Human"をかけると、観客は再び狂ったように歓声をあげた。
    Bad Bunny Bad Bunnyの本名はBenito Antonio Martinez Ocasioだ。彼はスペイン語トラップ、レゲトン、デンボウの近年の世界的人気の中で名を馳せ、OzunaやJ Balvinと並び世界で最もストリーミングされているアーティストの一人だ。多くの人にとって彼のSónar登場は、ポップ・スターの場違いな登場として受け止められたかもしれないが、Ocasioには実に破戒的・挑戦的な一面がある。映像に登場する彼はよく爪を塗ってドレスを着た姿で登場するのだが、その様は、長年シーンに毒づく男尊女卑的な価値観に挑戦しているようにも見受けられる。ファンに向けて祖国のプエルトリコでの騒々しい政治動向について発言することも恐れない。 養蜂家のような奇天烈なマスクをかぶり、82%にまで上昇した湿度を微塵もモノとしない軽快さでステージに登場した彼が最初に披露したのは、昨年12月にリリースされたアルバム『X 100pre』からの一曲"Ni Bien Ni Mal"。続く1時間のセットで、SonarClubは彼の幅広い音のスペクトロムで存分にあしらわれた。無類のバリトンは808サウンドの轟くトラップとも、夏をイメージさせるキャッチーなジャム"Sensualidad"とも相性が良い。Ocasioのコール・アンド・レスポンス遊びと華麗なライトの演出に観客は興じていた。独自のスタイルで冴えるパフォーマンスながら、少々辟易とさせる要素がないこともなかった。レゲトンのシーンで目撃される女性蔑視についての批判は最近始まったものではないが、それでもなおOcasioがプレイする背後のステージに映し出される性を強調したダンサーや女体の表現の多出にはどうしてもがっかりする。それはことさら、Sónarに出演する多くのアーティストが描く先進的な価値観を目撃して尚のことである。 Sónar 2019で聞いたトラックの中からお気に入りのいくつかをコンパイルし、YouTubeとSpotifyにプレイリストを制作しました。是非こちらからチェックを。
    Resident Advisorは、Sónar By Nightの金曜と土曜にRA SonarLabステージをホストしました。 Photo credits / Ariel Martini For Sónar - Lead, DJ Krush, Dixon, The Matthew Herbert Brexit Big Band Nerea Coll For Sónar - Holly Herndon, Bad Bunny, Sónar By Day, Ériver Hijano For Red Bull Content Pool - Perel Carlota Figueras For Sónar - Dengue Dengue Dengue, Stormzy Alba Ruperez - Sho Madjozi, Palms Trax & Peggy Gou
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