Zipang 2018

  • テクノ、フラワーパーク、そしてスイミングプール。日本のZipangは他に類を見ないフェスティバルだ。
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  • 4年目にして1000人を若干超える参加者を動員したZipangは、千葉市の近く、東京湾の向こう側にある白浜フラワーパークで行われた。テクノの世界で千葉といえば、DJ NobuとHakuraのパーティーFuture Terrorの拠点として知られている。オーガナイザーの話によると、このフェスティバルの主目的は日本のアーティストのショーケースとなることだ。DJ Nobu、Haruka、Gonno、Iori、DJ Yazi、CMT、Shhhhhらのアクトの揃った2018年のラインナップは、この国の豊かなエレクトロニックミュージックシーンをしっかりと反映したものだった。 ビーチの近くの古い遊園地で行われるZipangでは、太平洋の輝くような眺めを楽しむことができる。レイバー達にいざなわれ、植物やアロエベラの間を抜けると、3つあるステージのうちの一つであるHighlife Floorにたどり着いた。このステージはウェアハウスで、日中は30度以上もの暑さになるため、ほとんどの人々はメインステージであるZipang Floorのほうに惹きつけられているようだった。このフロアはHighlife Floorよりも小さいながら、大きなプールの横にあるため、プールを臨時のダンスフロアとすれば2倍の広さになる。 今年のはじめ、僕は日本のフェスティバルがとても家族連れに優しい事について書いたのだが、Zipangももちろん例外ではなく、プールはすぐにあらゆる年齢の子供達に占領され、大人も童心に帰って水鉄砲遊びに興じていた。プールでのおふざけから逃れたいビーチ派の人には、美しく人目の少ない海にも簡単に行けるという選択肢があった。
    日が沈み、プールはすっかり空になり、僕は3つ目のステージであるJungle Floorへと移動した。このステージは巨大な温室の中にあり、見慣れないエキゾチックな植物がいっぱいに立ち並んでいた。中には高さ数メートルにもなろうかというものまであり、その全てがキャンドルの光で照らされ、この広い舞踏場の空間に奇妙な雰囲気を醸し出していた。低音の重たいドローンやスペーシーなアンビエンスを行き来する、Medicalのぞっとするようなセットには完璧なセッティングだった。AalkoことAkiko Kiyamaは、よりアップリフティングでポップ感のあるセットを披露し、テンポの速い音楽に向けたムードを作り上げた。 気温が下がってくると、Highlife Floorはすぐに一杯になった。中ではTaku Hirayamaがディープでトリッピーなテクノをプレイし、続くGonnoはVoiski風のトランス曲を時折織り混ぜつつ、ハウスに移行。Green Velvetの”La La Land”などのクラシックチューンがダンスフロアを汗だくに変えていった。Zipang Floorでは、Ioriがヒプノティックなトラックを多用したセットで日本のテクノの最良な部分を提示すべく勤しんでいた。彼は続くDJ Nobuに向けてステージを作りあげ、DJ Nobuは徐々に脈打つ4つ打ちへと移行。クラウドの歓喜は最高潮になった。この時点まで、誰もがストレートなテクノに飢えていたのだ。ローカルのレジェンドであるCMTの登場を前に、DJ NobuはDonato Dozzyの”Cleo”でセットを締めくくった。CMTはディスコに舵をきって観客を驚かせた。海から昇る朝日を眺めつつ、Mr. MendelがエディットしたTrio Ternuraの”A Gira”などのチューンを聴くのは、日曜日の始まりとして理想的なものだった。僕は海に入って浮かびながらも、背中の側で展開するパーティーの光景を見逃さぬようにしていた。 Photo credits / Ken Kawamura - Lead Kenji Nishida - All others
RA