Sustain-Release 2017: Five key performances

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  • Sustain-Releaseに関して言及するべき良い点はたくさんある。この毎年恒例の小規模のパーティーは、今年で4回目を迎えた。ディープな音楽と、フレンドリーで耳の肥えたクラウド、そしてアップステート・ニューヨークにあるサマーキャンプ場を使用した会場は、居心地がよく、素朴で美しい。しかし、今回が同イベントへの初参加となった筆者の主な感想はこうだったーSustain-Releaseは、出演アーティストほぼ全員のベストのプレイを体験できる、数少ないイベントの1つだ。プロモーターの立場すると、これがなかなか難しいのだ。素晴らしいDJたちを同じ場所、同じ時に集める。そして彼らに、ベストを尽くしてもらう。その鍵となるのは、パフォーマーたちがクラウドと同じくらい楽しめる状況を作ること。そういう意味でSustain-Releaseは、FreerotationやLabyrinthのように、アーティストがパフォーマンスするだけではなく、インスピレーションをたっぷり吸収し、それを自身のセットに注ぎ込むことができる、そんなイベントへの仲間入りを果たしたようだ。結果として、世界中のパーティーと張り合うほど、非常に高い成功率のプログラムが完成した。 一方で、オーガナイザー陣もまた全力で最高の仕事をし、単にヤバいパーティーという言葉では片付けられない、DIYイベント全般における大成功を収めている。そしてSustain-Releaseは、国外のアーティストばかりに頼らずとも、自分たちのコミュニティのアーティストを中心としたラインナップで1,000枚近くのチケットが売れるということを証明している。また、DIYな運営をどれだけタイトにできるかということも実証しており、例えばバーは折りたたみテーブルを使用した即席のものながら、スムーズなオペレーションだった。同イベントの事実上の首謀者であるAurora Halalに至っては、36時間に及ぶパーティーを運営しながら2時間の完璧なテクノセットをプレイし、更にはいつだって元気で楽しそうな様子でいられるということを証明していた。 それでは、Sustain-Release 2017のキーとなった5組のパフォーマンスを振り返ってみよう。
    Jayda G この週末の大半、Sustain-Releaseのメインルームは、クラウドたちとDJがお互いの姿を目視できないほど濃い霧に覆われていた。(あるアーティストは、お客さんがどのくらいいるのかを思わずブース内で友人に尋ねてしまったと筆者に明かしてくれたー実際のところ、フロアは満員だった。)個人的には、このことは今回のイベントにおける数少ない失敗だったように感じる。パフォーマーとクラウドの間に視覚的にクリアな繋がりのなかったメインルームのダンスフロアは、Bossaステージに見られた騒がしさと比較すると、どうも平べったく感じてしまった(筆者個人にとっては、この週末の最高の瞬間のいくつかはBossステージで起きたものだった)。 だが、霧が発生する前の、そこがバスケットボールコートである様子がハッキリと確認できた時のメインルームは素晴らしかった。そのオールドスクールなヴァイブは、金曜夜の最初の2組であるTurtle BuggとJayda Gと完ぺきにハマっていた。Turtle Buggはピアノを多用したハウスクラシックスで締め、この週末で最初の大歓声を巻き起こした。Jaydaに交代した時、彼女は一度テンポを下げた。重心の低いグルーヴからじっくりと2時間のセットを組み上げ、後半はディスコクラシックス(First Choiceの"Love Thang"など)や爽やかなハウストラック(Jovanotti "L'Ombelico Del Mondo"の"Club Path Mix")へと展開。それは、友人同士がその週末で初めてお互いを見つけ、笑い合い、自分を解放していくという、その時ダンスフロアで起きていた出来事の最高のサウンドトラックとなった。セット終盤に霧が濃くなってくると同時に、バスケットボールコートの姿は薄れて行き、Jayda Gによる締めの1曲、Princeの"I Wanna Be Your Lover"と共にすっかりと見えなくなった。
    Akanbi アーティストの知名度よりも音楽そのものを重視したラインナップのパーティーに参加すると、知名度が低いアクトから順にプレイしていくような大型イベントではどれほどのものが失われているのかに気が付くはずだ。Sustain-Releaseの最初の夜、Bossaステージの最後のセットは(この夜のベストスロットと言って間違いないだろう)、ニューヨークを拠点にGroovy Groovyというパーティーを主催するナイジェリア人DJ、Akanbiに託された。個人的には、彼はこの週末の大きな発見であった。Minor Scienceによる傑作トラック"Volumes"でスタートしたセットは、カテゴライゼーションに反抗するようなミュータント・ビートの数々に、時折焼け付くようなテクノを挟みながら、クラブリズムの圏外にまで達した。どこかObjekt、あるいはCall Superっぽさも感じる彼は、ジャンルやテンポといった概念に捉われていないようで、2時間のセットの中で非常に幅広いサウンドを苦もなく操ってみせた。終わりが近くに連れてテンポは加速。フィナーレでは熱狂したクラウドたちが、Tshetsha Boysの"Nwapfundla"に最後のエネルギーを爆発させた。
    Josey Rebelle Sustain-Releaseにおけるプールパーティーはユニークだった。クラウドに関して言えばマイアミのサウスビーチやイビサのプールパーティーのそれとは程遠く、誰も彼もがタトゥーを入れており、Cannibal CorpseのTシャツを見かけることも珍しくなかった。しかし彼らは完全に寛いでいる様子で、子供のようにはしゃいだり、アペロール・スプリッツ(イタリアで人気のカクテル)のグラスを傾けたりしていた。Justin CudmoreとOcto Octaに続き、Powderがこの日の音楽プログラムをクロージングを務めるはずだったが、彼女がフライトの遅延によって出番に間に合わなかった為、深夜に出演予定だったJosey Rebelleが代わって登壇した。 この土壇場のアレンジが功を奏した。Rinse FMのレギュラーDJであるRebelleは、メロウなファンクやディスコからハイエネルギーのクラブサウンドまでをスムースに行き来するプレイで知られる。プール脇ながらも、彼女はクラブらしいサウンドをしっかりとキープしていたが、そのフレームワークの中でもSejvaの "Boys Say"や、Mark PritchardとRagga Twinsによるコラボレーション曲"1234"など荒々しいクラブカットの間を駆け抜け、素晴らしい多様さを見せつけた。太陽がしっかり沈み夜の肌寒さがやってくると、人々はプールから抜け出し、ブース前の濡れたコンクリートの上は踊る身体でいっぱいとなった。そして筆者を含むその他のクラウドは、近くの芝生にブランケットを敷いて座り、その様子を眺めていた。金曜の夜は全体を通して素晴らしかった。だが、個人的にはMachine Woman "Camille From OHM Makes Me Feel Loved"の温かいコードが聴こえてきたその瞬間に、今回のSustain-Releaseがバッチリ整ったように感じた。
    Powder Powderは、これまでに数えるほどのレコードしかリリースしていないにも関わらず、この週末最も期待されていたアクトの1人だった。筆者はこの日以前に彼女のプレイを体験したことはなかったものの、彼女の魅力はハッキリと分かっていた。日本人アーティストのPowderことMoko Shibataは、我々が2016年にインタビューした当時、東京の窓のないオフィスで働くサラリーウーマンだった。そんな日々に対する“毎日の悪魔祓い”として、彼女は音楽を作っていたのだ。筆者がそれまでに聴いたことのあった彼女の音源は、コズミックでジェントルな内容だったが、この日のBossaステージでの彼女はもっとずっと力強く、キャッチーで謎のグルーヴを次々と生み出していった。ミキシングトリックは巧妙で、そこで何が起きているのか筆者はハッキリと分からなかった。ボリュームは上がったり下がったり、そして少なくとも1回は、数枚前のレコードのフック部分を再びプレイするという瞬間もあった。筆者は彼女がかけていた曲を何も知らなかったが、リヴァーブをたっぷり効かせたギターや口琴の音などは全て彼女自身のカタログだと言われても疑わないほどで、粋なグルーヴと、シュールで、時にはファニーなフックが満載のセットだった。
    PLO Man 質素な木製小屋を方向感覚を失わせるようなレイヴ箱へと変身させた見事なデザインも手伝って、Bossaはただ単に良いステージという以上に、Sustain-Releaseにおけるスターであった。 天井からDJブース後ろの壁まで張り巡らせられた蛍光灯は、色鮮やかなフラッシュでクラウドを照らし出した(このフラッシュについてはやりすぎだという声も聞こえたが、筆者は全くそうは感じなかった)。だが、その中でも本当に見事だったのは、建物上部を取り囲む窓だ。その窓からは、外から光が差し込んだ時にだけ、木々を見晴らすことができた。朝日が昇ると室内に太陽光が差し込み、スモークや色とりどりのライトと溶け込んだ。 そのサンライズの時間帯にプレイした唯一のアーティストが、バンクーバー出身、現在はベルリンを拠点にレーベルActing Pressを主宰するPLO Manだった。彼がPowderと交代した後、Helena Hauffを聴くために少しの間メインルームへ行った筆者は、すぐに友人に呼び戻された。PLO Manがジャングルをかけている、と、彼は教えてくれた。筆者が戻った頃には、彼はMen From The Nileの"Watch Them Come!"のようなトラックで、より晴れやかな雰囲気を作っていた。そこから1時間ほど、大盛り上がりのヒットパレードが続き、決してやりすぎることなくあらゆるスイートスポットを捉えていった。「Workshop 14」のB1に収録のMarvin Dashのようなディープなトラックが、Bizarre Inc "I'm Gonna Get You"のような悪びれないアンセムを相殺。個人的にこの週末で一番鳥肌が立ったのは、Armand Van HeldenによるCJ Bolland "Sugar Is Sweeter"のリミックスのブレイクダウンから、Felix Da Housecatが作った最も破壊的なトラック、"In The Dark We Live (Thee Lite)"(Aphrohead名義)に繋げられた瞬間だった。彼がプレイを終える前にこっそりとフロアを離れ、眠りについた筆者だが、キャビンにいても一度終わったセットが何度もアンコールを繰り返すのが聴こえ、それはまるでDJが自分自身を止められないようでもあった。おそらくその後も更に続いていただろうが、筆者が聴いた最後の1曲は、Love Incの"Life's A Gas"。同じタイトルのT Rexの曲とRoxy Musicによる"True To Life"のシュールなマッシュアップは、空気を漂い丘を登って筆者のキャビンへ入ってくるまで、完璧な響きをしていた。 Photo credits / Mariah Tiffany - Lead Nieto Dickens - Powder, Akanbi, Josey Rebelle Ryan Scannura - PLO Man