fabric reopening in London

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  • 1月最初の週末にも関わらずロンドナーたちを誘き寄せるのに成功したパーティー、それがfabricのリオープニング・パーティーだった。昨年8月に起きた同クラブの不慮の閉店は、ある意味で歴史的なほどダンスミュージック・コミュニティを駆り立て、最終的に33万ポンド以上の支援金が集まったキャンペーンが実施されたほか、世界各地でこの問題について語られた。こうした奮闘がなければ、イズリントン区議会とロンドン警視庁が同クラブの営業再開案について審議することはなかっただろう。しかし、同クラブの復活を知らせるニュースは周囲に勝利や安堵の感覚を与えたと同時に、不安もあった。DJスキャンやセキュリティの強化、より明るい照明といった新たな制限が、楽しいナイトアウトを不可能にしてしまうのではないか? 営業再開後2日目となった土曜の夜から判断するに、その答えはノーだった。入場には以前より数分多くかかっただけで、持ち物検査が厳しくなったということもなかった(正確に言うと、筆者は一般客とは別のドアから入ったのだが、メインのエントランス付近に立ちその様子を眺めていたところ、こちらとさほど変わりはなかったように思える。唯一の違いと言えば、医療専門チームが来場者の服用中の薬を確認し、新たな医療テントの存在を知らせていたことくらいだろうか)。セキュリティ・スタッフは店内にかなり多く配置されていたが、その点はここ数年間ずっと変わっていない。照明に関しては、特に喫煙エリアと2つのダンスフロア(Room Threeは音楽なしのチルアウトルームとなっていた)が著しく明るくなっていたが、ヴァイブを殺す程ではなかった。 とはいうものの、いつもの土曜日らしからぬ場面も多くあった。再びあの階段を降りられることに対して皆が意気揚々とし、幸せそうな様子であった。あるグループは#saveourcultureのTシャツをお揃いで身につけ、バー待ちの列の中で踊り、自分たちの順番がくると大量のショットを注文。筆者が話しかけた他の客たちは、この場所で過ごしたスペシャルな夜を思い起こしていると語っていた。個人的な話をすると、筆者はRoom Oneに足を踏み入れた時に気持ちがアガるという体験を初めてした。多くの業界の知り合いや、古くからのfabricヘッズたちが集まっていたこともあってか、どちらのダンスフロアの雰囲気も素晴らしかった。ミックス中にキックドラムの音が抜ける度、フロアには叫び声や指笛が鳴り響き、ドロップの瞬間にはひと際大きく盛り上がった。 fabricと言えど、この日だけはラインナップやセットタイムといった詳細が最優先事項ではないように思えたが、Ben Simsや、Seth TroxlerとCraig RichardsによるB2Bはずば抜けて素晴らしかった。特にSimsが素晴らしく、Room Twoに新しくインストールされたPioneer Pro Audioのシステムからは、彼のブリーピーでファンキーなテクノのディテールや個性が、パワフルに、そしてクリアに鳴り響いていた。エントランスでの厳しいセキュリティ・チェックのせいか、店内が混み合うまでに以前よりも時間がかかっていたが、TroxlerとRichardsがグルーヴィーでアップビートなセットを始める頃には、Room Oneは満員となった。筆者はこの時フロアの後方に立っていたのだが、周囲の人々からはステージ(後方にあるお立ち台)に上り下りするのを手助けしてほしいと断続的に頼まれた。筆者が持ち上げたある女性は、ありがとうと言うように腰を曲げてみせた。そして彼女は、"Happy reopening!"と筆者の耳に向けて叫んだ。
RA