Miyako Koda - In The Shadow Of Jupiter

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  • 2016年に再発されたタイトルの中で特に予想外かつ有意義だったのが、Miyako Kodaの再発盤だ。彼女が参加していたエレガントなユニットDip In The Poolによる透き通るように精巧なポップを収めた1989年のシングル"On Retinae"が今年の頭にMusic From Memoryから再発された。そして先日再びKodaの名前が浮上した。Visible CloaksがRvngから発表したシングル「Valve / Valve (Revisited)」で、彼女は映像を喚起する吹き抜けるような声を披露したのだ(英語サイト)。そして今回、Chee Shimizuのレーベル17853から届けられたのが、この5曲入りEPだ。1998年に発表されていたKodaの隠れた名ソロアルバム『Jupiter』の数曲と、新世代のプロデューサーに再構築させた楽曲を収めた1枚となっている。 今年、Shimizuは精力的に活動しており、Aragonが1985年に発表した唯一のアルバムや、重要コンピレーション『More Better Days』など、カテゴリー区分不可能なジャパニーズポップミュージックを再び世界へ送り出している。その極め付けが今回のEPだ。彼は"Io"を非常にささやかなタッチでエディットしており、加えられているのはコオロギの鳴き声と断片的なパルス音のみだ。Kodaの豊潤な声にはそれ以上の装飾が必要ないことを彼は理解しているのだろう。同様のことは、波の音が加えられただけのスポークンワードトラック"Sea Of Love"にも当てはまる。 Towa Teiが原曲の"Butter"で制作した、音飛びするCDのようなオケ部分には何も手が加えられていない。これがとても不思議な印象だ。Kodaのスポークンワードや背後から聞こえてくる奇妙な声により、Laurie AndersonやRobert Ashleyの作品とは異なる感覚を生んでいる。「We don't make much / When I try to think / It hurts me lot / Actually, I'm nothing(私たちに多くのことはできないの。考えようとすると、すごく苦しくなる。私は何者でもないんだわ)」という見解は特にふたりとは違う。"Ndembu"のJordan GCZによるリエディットでは、Ochi兄弟による未使用テイクのハンドパーカッションが散りばめられ、トラックがFolkways Recordsのフィールドレコーディング作品のようにきらめいている。 本作からどれか1曲だけをピックアップするのは難しいが、もっとも充実しているのは"Sleep In Peace"のIn The Shadowによるリミックスかもしれない。もともとHaruomi Hosonoによってプロデュースされたこのトラックに、GCZがシンセのメロディを、そして、Wolf Müllerがメタルボール系のパーカッションの音を加えている。「Peace comes」と何度も繰り返すKoda。彼女がこの言葉を最初にささやいたのは18年も前のことだが、今、その輝きに溢れた声はさらに活き活きとした魅力と安らぎを感じさせる。
  • Tracklist
      01. Io (Chee Shimizu Re-Edit) 02. Ndembu (Jordan GCZ Re-Edit) 03. Butter 04. Sleep In Peace (In The Shadow Remix) 05. Sea Of Love (Seahorse Remix)