Oren Ambarchi - Hubris

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  • オーストラリアのマルチ演奏者Oren Ambarchiはもともとドラマーとして活動を開始したが、現在では唯一無二のギタリストとして最も知られている。彼は情景を喚起させる感情に富んだエレクトリック・デザートブルースの魔術師であり、その一流即興演奏者だ。彼は20年近くにわたって作品を発表し続けており、その中で彼とコラボレーションしてきたアーティストたちをまとめると、実験音楽界の名士がずらりと並ぶ圧巻のリストになる。Keith Rowe、Peter Rehberg、Otomo Yoshihide、Keiji Haino、Stephen O'Malley、Thomas Brinkmannなどは、彼とコラボレーションを行ったアーティストのごく一部だ。『Hubris』で彼と手を組んだのはこれまでで最もエレクトロニック寄りのアーティストとなっており、Mark Fell、Ricardo Villalobos、Keith Fullerton Whitmanがアヴァンギャルドの重鎮Jim O'RourkeやArto Lindsayに加わっている。 『Hubris』の構成は、2曲の長編曲"Hubris, Pt. 1"と"Hubris, Pt. 3"、そして、意識を一旦リセットさせる2分間のインタールード"Hubris, Pt. 2"となっている。"1"と"3"では絶え間なく変化していく反復を生み出すSteve Reichの手法が用いられている。特に"1"は、ミュートギターと響き渡るハーモニクスのレイヤーによって生成される陶酔のリズムの中を浮遊しているような印象だ。"3"でも同じリズムギターのレイヤーが起点となり、ドラマーのJoe TaliaとWill Guthrie、そして、モジュラーシンセの名手であるWhitmanが熱狂的に解き放つような演奏を繰り広げ、LindsayとAmbarchi自身によるギターがそれに続いていく。別の部屋から聞こえる会話のような声の断片が用いられた"2"は、メロディを奏でるベースギターによって奇妙な光景が喚起されるララバイだ。 本作では、演者それぞれの個性を保ちながら作品全体のアイデアときれいに適合させるAmbarchiのアレンジ力が示されている。どこで誰が何を行っているのかという説明が無ければ、どんなに知識のあるリスナーでもコラボレーション部分を言い当てるのは難しいだろう。それくらい『Hubris』の一部として各コラボレーションが埋め込まれているのだ。しかし、本作を特別なものにしているのは、伝統的なミニマリズム、ジャズ、ロック、そして、エレクトロニックミュージックの中間に位置する領域がとても自然に切り拓かれている点だ。『Hubris』の洗練度は賞賛に値する。そして同時に至高の瞬間を感じさせる作品だ。
  • Tracklist
      01. Hubris, Pt. 1 02. Hubris, Pt. 2 03. Hubris, Pt. 3