Harvey Sutherland And Bermuda - Priestess / Bravado

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  • Mike KatzがHarvey Sutherland名義でリリースしてきた数枚の12インチが話題となったが、彼の知名度が急上昇したのは、昨年、Danilo PlessowのレーベルMCDEから「Bermuda」がリリースされたときだ。同作のKatzはジャズファンク、ディスコ、ソウルフル・ハウスの間を単なるオマージュに終わることなく優雅に行き交ってみせた。 『Bermuda』の続編リリースにあたって、Katzは自身のレーベルClarityを設立し、ドラマーGraeme Pogsonとストリングス担当のTamil Rogeonがメンバーに名を連ねるライブバンドBermudaを結成した。他にもハンドクラップ担当として9人がクレジットされており、"Priestess"では、80年代初期にPreludeから発表されたFrançois Kの作品を思わせる重く打ち込まれるサイケデリックなビートへ、9人によるクラップが加えられている。Katzによる持続音のピアノコードはクラシックな趣があって味わい深く、さらにシンセのメロディが加えられても、十分に空間が保たれている。しかし5分が経過してRogeonのバイオリンが立ち昇り、太いベースラインが加えられると、Metro Areaがかつて制作していたような陶酔のディスコサウンドへとトラックは進行していく。 逆サイドのトラックはさらにゆったりとしたグルーヴで同様に心地よい。Rogeonのストリングスから始まる"Bravado"は、Kelley PolarとMetro Areaのコラボレーションを思わせるが、こちらはさらにスピリチュアル・ジャズに寄っている。ハイハットは歯切れがよく、ビートはどっしりとしており、同時にスウィング感を生み出している。Katzの演奏による太く軽やかなARPのメロディは70年代全盛期のLonnie Liston Smithを彷彿とさせ、ディープなファンクを聞かせながらトラックを高揚していく。そして終盤になると、こだまするきらめくコードによって素晴らしい着地が演出されている。
  • Tracklist
      A Priestess B Bravado
RA