Maayan Nidam - Deep Under Sobriety Regime

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  • Maayan Nidamによる00年代後期の作品(共に英語サイト)しか知らない人にとって、「Deep Under Sobriety Regime」は思いもしない場所から現れたように思えるかもしれない。この新作10インチでは正確無比なサウンドがいつもより暖かく分かりやすい感覚を生んでいる。Nidamの初期作品と同様、今回の2曲も頑ななまでに坦々としており、トリッピーなハウスミュージックに強く傾倒している。しかし、トラックのレコーディングで用いられた素材やエフェクト固有のキャラクターが心地よく強調されている。 個人的にBサイドの"Looking Through A Glassy Mind"は、そのシンプルさにもかかわらず(もしくは、そのシンプルさゆえに)、これまでのNidam作品で一番のお気に入りだ。このシンプルさに大きくかかわっているのがコンパクトで軽やかに響くリードフレーズで、儚くも心地よいメロディがぎこちなく奏でられている。それに相対するように、じわじわと異質さを増していく低域が鈍い音になり、そこへローパスフィルターがかけられると、狂ったように唸り始める。クラップとノイズによるシンバルが2拍目を引き立てており、全体の軽やかなノリにもかかわらず、ハーフステップ的な感覚を生んでいる。 対する"Deep Under Sobriety Regime"の雰囲気は非常に思い。真っ直ぐに前進していくように作られているわけではないが、崩したキックパターンとジリジリとした高域部によってダブワイズされたドラマティックなリムショットや中低域に潜む波打つベースが映えるようになっている。途中、彼方まで鳴り響く歪んだリードフレーズが挿入されるが、素材が騒然となっていくにもかかわらず、マシンとエフェクトによるじっとりとしていながらも息づく雰囲気がリスナー意識を最も引き寄せる。
  • Tracklist
      A Deep Under Sobriety Regime B Looking Through A Glassy Mind
RA