Call Super - New Life Tones

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  • この数年にわたり、Call Super(本名Joe Seaton)の楽曲は機能性と実験性の間を行き交ってきた。昨年Houndstoothに提供したEP「Migrant」ではスペーシーなダブを基盤とした比較的ストレートなトラックが収録された一方で、Ondo Fudd名義での最新作では、2014年のファーストアルバム『Suzi Ecto』(英語サイト)に収録された"Sulu Sekou"のような、ジャズ・ミーツ・アンビエント的スタイルが踏襲された。今年Call Super名義で発表した2枚のEP、つまり、Dekmantelからの「Nervous Sex Traffic」と今回のHoundstoothからの「New Life Tones」(英語サイト)では、程よい中間点が模索されており、高い意識による制作コンセプトとクラブに歓迎的なビートが混ざり合っている。 1曲目"Puppet Scenes"は隙間が多く不気味に躍動するトラックだ。軋むサウンドエフェクトと陰鬱なシンセが、盛り上がり必至のベースラインを引き立てる舞台を用意している。このベースラインの反復はダブ/レゲエのレコードが元ネタになっているのかもしれない。ベースラインが挿入されるとトラックは瞑想ゾーンへと突入し、DMZの初期リリースを思わせる、頭を垂らして黙々と踊りたくなる重みに、On-U Soundの土着的な音楽観が組み合わされる。 "New Life Repercussions"は表面的には形式的な印象だ。タムを多用したハウスビートから始まり、鳥の鳴き声と熱帯雨林のざわめきが空間を満たす。鬱蒼とした空間の中では、ベルや笛の音がポジティブな雰囲気のオーケストラ・ドローンに加わる。ミッドレンジの茂みには、IDMスタイルでさえずるシンセと巧妙なパーカッションを伴いながら悲し気なリードピアノが鳴り響く。その向こう側では執拗なビートが奇妙な生態系に存在する川のように流れている。このトラックでは、これまで別々だったSeatonの音楽要素がひとつにまとまって魅力的な酩酊サウンドを生み出している。
  • Tracklist
      A1 Puppet Scenes B1 New Life Repercussions
RA