Various - La Torre Volumen Uno

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  • バレアリックサウンドの新潮流がおよそこの10年にわたって登場してきたことを考えると、『La Torre』のようなシリーズが始まるのは時間の問題だったのかもしれない。80年代のCafé Del Marで開催された歴史的ダンスイベントを称えたJosé Padillaの同名コンピレーションに倣い、『La Torre Volumen Uno』もイビザのHostal La Torreで行われているパーティーの自由奔放な精神を再現している。このファーストエディションを手掛けるのはLa Torreのレジデントであり、言うまでもなくバレアリック新潮流のキーマンである、International Feelの主宰者Mark Barrottだ。 『La Torre Volumen Uno』の下地になっているのは、PadillaやAlfredoといった初期バレアリックサウンドの牽引者によって広まった「イビザの音楽を特徴づけているのはサウンドではなくフィーリングである」という考えだ。それはバレアリックサウンドを聞けば分かることなのだが、何も知らない人に説明するとなるとすごくむずかしい。Barrottの選曲では、過去何十年にもおよぶ音源の中から、陽射しの降り注ぐ午後とまばゆい夕暮れに最適なリラックス・トラックをジャンルレスに厳選していることが分かる。カメルーンのアーティストFrancis Bebeyの"Forest Nativity"では囁き声がミニマルに繰り返され、スペインのスーパーグループFinis Africaeは"Managua"で眠たげなサウンドを披露している。伝説的バンドPenguin Cafe Orchestraによる軽快なアコースティックトラック"Air A Danser"も収録されている。そうした酩酊感強めの選曲に続いて、揚々としたギターの爪弾かれるAhmed Fakroun "Nisyan"を聞けば血がたぎるに違いない。ストリングスを施した不気味なサウンドのIl Guardiano Del Faro "Disco Divina"にも同じことが言える。 本作の魅力の大部分を担っているのは、昔の希少曲を現在の佳曲に組み合わせることでイビザの空気を捉えるBarrottの説得力だ。Domenique Dumontによる2015年の名曲"Comme Ça"は(英語サイト)、Bebeyを思わせる爽やかな静けさ漂う、拡張したアウトロのようなトラックだ。Andrásの"Gold Coast (Surfer's Paradise Mix)"は、吹き抜けるストリングスと柔らかく灯されるオルガンによる夕闇のドラマの縮図となっており、Raymond Chandlerの小説にも似ている。そうしたトラックに負けじとBarrottも自身のファーストアルバムから出色の1曲、エレガントな"Deep Water"を提供している。このトラックは新旧の音楽がシームレスに交わる定義不可能なバレアリックサウンドの復活の証だと言えるだろう。
  • Tracklist
      01. Francis Bebey - Forest Nativity 02. Domenique Dumont - Comme Ça 03. Penguin Cafe Orchestra - Air A Danser 04. Ahmed Fakroun - Nisyan 05. Spooky - Orange Flavoured Liquid 06. Cantoma - Tabarin 07. Finis Africae - Managua 08. András - Gold Coast (Surfer's Paradise Mix) 09. Barry Forgie - Dawn Mists 10. Il Guardiano Del Faro - Disco Divina 11. Tri Atma Und Gyan Nishabda - Natürliche Liebe 12. Planet Funk - Inside All The People (Harvey's Ibiza Sleepy Mix) 13. Mark Barrott - Deep Water 14. Gryningen - Früh Andra Hand Till Strñnderna I Nice 15. Hatchback - White Diamond