Hokuto Sato - Deja Vu

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  • 2013年にNYのThemaより配信音源によってデビューを果たしたHokuto Sato。まだ作品数は少ないものの2014年に自身によるAura Musicを立ち上げ、このレーベルにおいては配信は行わずアナログの形態に拘りを持って活動をしているが、その希少さもあってか海外でも過去の作品が完売になるように着実に評価を得ているようだ。Satoの音楽性は落ち着きを持ち淡い情緒的な空気が通底するディープ・ハウスで、過去のどの作品においても激しいリズム感や誇張した興奮は一切無く、シンプルで洗練されたグルーヴとメロディーのバランスを尊重した音楽性が表現されている。 しかし、この新作は今までとはやや雰囲気が異なっている。"Deja Vu"は特に切れ味が感じられるハウスのビート感にぼんやりと朧気なパッドや不気味さもある呟きを乗せて、何か真夜中のおどろおどろしさも含み、そしてフロア向けの機能的な面が前面に出ている。確かに繊細に配置された音や淡い色彩は残っているものの、強靭なグルーヴ感は今までより格段に増しているのだ。"24 60Sec"ではヒプノティックなシーケンスに先導されながら、タイトなリズム感も相まって水平方向のミニマルな要素が強い事でよりDJ志向となっているものの、ブレイクでの映画音楽から拝借した風なサンプル使いであっと言わせる展開に驚くだろう。"Solarization"も薄っすらと伸びる上モノには確かに仄かな情緒がないわけではないが、ひんやりとした冷気と徹底的に抑制されたミニマルなグルーヴを伴っており、やはり特にフロアでプレイされる事を意識して制作されたように感じられる。今までの作品に見受けられた温かみや情緒深さは封印し、真夜中の闇やフロアへと足を踏み入れたような本作は意外性もあるものの、ダンス・トラックとしての機能美が追求されている。
  • Tracklist
      A1 Deja Vu B1 24 60Sec B2 Solarization
RA