Fit Of Body - Fit Of Body

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  • Fit Of BodyはRyan Parksによるプロジェクトだ。アトランタでカセットレーベルを手掛ける彼の影響元はポストパンク、ハウス、地元のラップ、スケートビデオのざらついたニヒリズム、WorldstarHipHopにアップされる映像など様々だ。Harsh Riddims Blood Sucking Cassette Co.の主宰者としてParksはRAMZi、Stefan Ringer、エクスペリメンタル系MCのBluntfangといった全く異なるアーティストたちに作品を発表するプラットフォームを提供してきた。そして今回、カセット2作品とオンライン上でのリリース数作品に続き、Fit Of Body名義のもとParksがヴァイナルをリリースした。本作にはアナーキーなエネルギーを制御し、意識の流れに任せたつぶやきを乗せた、中毒性のあるモダンなレフトフィールド・ディスコが収められている。 偏執的ダブワイズに満ちた1曲目の"Carol Haze"には彼のスタイルが散りばめられている。不気味なピアノとメロディカが粗くジャッキンなパーカッション上に漂う中、Parksが"Help… Carol"と厳につぶやき、最終的にLiquid Liquidの作品からサンプリングしたかのようなベースラインがトラックに加わる。トラックで使われている素材はそれくらいで、あとはアウトロ部分でズレたギターとどこか愛嬌のあるパッドが使われているだけだ。しかし「Fit Of Body」には極めてミニマルな構成にもかかわらず広々とした感覚がある。Parksはミキシングの術を心得ており、ジェンガのブロックのように要素を積み重ねて、グラグラと揺らぐ印象的な全体像を生み出しているのだ。"John Mikel"も同様にノーウェーブと霞むローファイ・ハウスの中間に位置するトラックだ。ParksはTinder(出会い系サービス)後の疎外感について思いを馳せた後、違うことを語り始め、「どんなやつにも相手がいた。関係が終わると携帯電話が無視をするから。一緒にいる限り、何でもやりたいと言ってくれ」とラップする。 CGIのボスであり、同じくアトランタ在住のTWINSは、Harsh Riddimsのファーストコンピレーションに収録されていた"House Music"を2分弱からDJ仕様の8分バージョンに拡張している。EQ処理が加えられ、しっかりとDJで使える内容になっているのだが、Fit Of Body特有の気の抜けたような揺らめきがトラックに残っている。そして本作を締めくくるのは、Fit Of Bodyの初期未発表作品をニューヨークのGalcher Lustwerkがエディットしたトラックだ。LustwerkによるプロジェクトRoad Hogと同じく、ぼんやりと巡航しているような雰囲気があるが、彼方から送り込まれているような、ひどくタイミングの遅れたパーカッションを除けば、ビートが一切使われていない。このトラックは入眠用なのかもしれない。すると「Fit Of Body」がParksのとある一日を表しているかのように思えてくる。意識の朦朧とした朝、仕事、スケートパークへ移動、クラブミュージックのループ、そして重々しく酩酊した夢の中へと移ろっていく。
  • Tracklist
      A1 Carol Haze A2 House Music (TWINS Edit) B1 John Mikel B2 Track 4 (Galcher Lustwerk Remix)
RA