Yoshinori Hayashi - The Forgetting Curve

  • Share
  • 「water, fire, sand」という声から始まる「The Forgetting Curve」は知覚できない奇妙な空間を想起させるレコードだ。つなぎ合わされて収録された3曲の1曲目"Matter"では、儀式的な語りを通じてYoshinori Hayashiが自然界につながっている。そこから流れ込むようにして迎える"Waterwheel"は、ゆっくりと鳴らされていなければ揚々とした響きになっていたであろうアコースティックギターと夢遊病のようなスネアによるセクションだ。印象主義的で時として不可解な両セクションは夢のような感覚を呼び起こす。 そして"Waterwheel"から躍動するように"Playing"へと展開していく。こちらは先のふたつのセクションで使われていた粗放なパーカッションと呪文を唱える声から進化したようなトラックとなっており、そうした劣化させた素材から、ジェンガのように積み重ねられたジャジーなハウスへと変化していく。シンバルのタップとタイトなドラム演奏によって、サルーンピアノを含むサウンドがよりアップビートな雰囲気になっている。しかし、Hayashiはそれをかき乱さずにはいられなかったようだ。例えば"Playing"では、躍動するスネアとねじれたエフェクトによってトラックが完全に崩壊しかける場面がある。トラックはそこから不気味なシンセに乗って上昇し始め、"Matter"や"Waterwheel"と同じ中毒性のあるムードが再びもたらされている。 Bサイド全体を埋め尽くしているのはDJ Sotofettによる11分間の"Dubcurve Fix-Mix"だ。Osaruxoがバイオリンを、そして、Sotofettがシンセ、フルート、パーカッションを演奏し、独自の世界を想起させつつ、Aサイド全体を再構築したトラックを作り上げている。Hayashiの音楽と同様、新しい演奏法に傾倒しているSotofettのリミックスは比較的分かりやすいトラックだ。Aサイドの3曲で繰り広げられたとりとめのない物語が、トラックの隙間から浮かび上がってくる。
  • Tracklist
      A1 Matter A2 Waterwheel A3 Playing B1 Waterwheel Scenery (DJ Sotofett’s Dubcurve Fix-Mix feat. Osaruxo)