- 昨年「Workshop 21」が発表されたとき、Willowに興味をそそられずにはいられなかった。本名、Sophie Wilson。同作のA1に収録された"Feel Me"でデビューを飾ったマンチェスターのプロデューサーだ。艶やかに鼓動し驚くほどキャッチーなこのトラックはWorkshopからリリースされたものの中でも特に印象的な1曲だった。長年レーベルが発表してきた音楽の素晴らしさを考えると、そのことの重大さがお分かりになるだろう。しかし、"Feel Me"で提示されたのはWilsonのサウンドの一部に過ぎなかったようだ。初のソロ作品となる「Workshop 23」で彼女の異なる一面が映し出されているのだ。
「Workshop 23」に収録された全4曲は、隙間の多いリズムと図太いサブベースを土台にしているが、それ以外の要素はトラックごとにかなり異なっている。A1は不気味なハウストラックだ。轟くキックドラム、スモーキーなボーカルの断片、図太く不吉なベースラインのみで成り立っている。本作のハウストラックはこれ以外だとB2のみだ。こちらは漂うコードによって全体的に粛々としたムードの長尺ビートレス・トラックとなっている。B1では瓶に入った蛍のように震えるメロディと軽めのリズムが用いられている。本作の大本命は、ダブステップとトリップホップの要素をハウスのテンポに落とし込み、重低音の効いたなめらかなグルーヴを実現したA2だ。いずれの収録曲のアレンジも美しくダークでスムーズだ。"Feel Me"のような王道的名曲であるわけではないが、どのトラックにも独自の中毒性がある。Willowの次回作にも今回並みの仕上がりを期待していいだろう。
TracklistA1 Untitled
A2 Untitled
B1 Untitled
B2 Untitled