Levon Vincent - NS-14

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  • Mike Oldfieldによる"Tubular Bells"は曲のイメージに問題がある。"Tubular Bells"はRichard Branson卿を大儲けさせたトラックであり(英語サイト)、史上最も有名なホラー映画『The Exorcist』のテーマ曲であり、プログレッシブ・ロックの価値観の礎となった音楽だ。多くの人が言っているかもしれないが、この曲は非常にダサい(「2016年に"Tubular Bells"のリミックスをやる人なんているの?」と発言する懐疑的なDiscogsユーザーがいるくらいだ(英語サイト))。 "Tubular Bells (Oldfield)"では、Levon Vincentがオリジナルバージョンのピアノ・イントロの断片を少しアレンジしなおして倍速ループに変化させ、そのフレーズをビート上に押し込んでいる。簡略化した形であっても、曲を聞けばすぐに"Tubular Bells"だと分かる。しかし、このトラックはいつものLevon Vincentらしくない。らせん状に細長く伸びるノイズや破滅的なパッドなどムードを醸す素材が妙な角度からトラックに追加されているし、繰り返されるピアノループを聞いていてブレイクが欲しくなるときもある。その一方で、浮遊するカウンターメロディに意識を引き付けられる。さらに、高まっていくビート感はVincentの代名詞的アレンジだ。世の中に出回っている"Tubular Bells"のリミックスの中でも、このトラックは特に面白いものに違いない。 Bサイドに収録のトラックもアシッド・サウンドを使い過ぎているところが問題だ。"Birds"で特徴的なのは、303のアシッド・サウンドの周辺で渦巻くアンビエントノイズだ。大量の鳥の鳴き声が、インターホンの静止ノイズ(もしくは、工業用蒸気管)のようなサウンドに包み込まれている。この2曲で言えば"Birds"の方が素晴らしいが、"Tubular Bells (Oldfield)"が人を振り向かせることもあるだろう。
  • Tracklist
      A Tubular Bells (Oldfield) B Birds
RA