Masanori Nozawa, Tomi Chair - Four Perpetual Waves EP

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  • 配信により作品がリリースしやすくなったこのご時世において、わざわざアナログでのリリースを敢行する事は、おそらく作品に対しての絶対の自信や信頼によるものが背景にあるのだろう。宇都宮を拠点に活動するMasanori Nozawaは2014年にmediumを立ち上げ清々しいまでの情緒的なテック・ハウスである「Medium EP」をリリースしたが、それから1年半が経過してレーベル第2弾の作品を完成させた。本作は彼自身の新作と共にTominori Hosoyaとしても躍進著しいTomi Chairの作品も収録したスプリット盤となるが、更にはDJ KentことThe Backwoodsやイタリアの新鋭・Sofa Talkをリミキサーに招き、内容・話題性と共に十分な魅力を持っている。 本作でもNozawaの魅力は前作から変わる事はなく、清流のような澄み切ったシンセのメロディーを用いた"Siki (Original Mix)"は果ての見えない空遠くまで響くようなテック・ハウスだ。ざらついた荒々しいリズムが刺激的ながらも、幻想的な旋律は胸を締め付ける程までに感情的で、ぼやけて滲むようなアトモスフェリックな響きは美しい。情感をたっぷり含んだ世界観、そしてドラマチックな展開はクラブでも当然映えるに違いない。一方で"Siki (The Backwoods Remix)"はリズムを穏やかに抑制する事で、逆に哀愁の旋律がより際立ちじわじわと染みるような性質が強まり、バレアリック感の強いディープ・ハウスへと見事に生まれ変わっている。またTomi Chairによる"Heat Haze (Original Mix)"も壮大なパットを用いて壮大な空間の広がりを感じさせるディープ・ハウスの基調だが、意外にも足元には控え目に小刻みなアシッドのシーケンスを配置し、青々しい爽快さの中に攻撃的な面も含んでフロアの闇を感じさせる。最後の"Heat Haze (SofaTalk re-worked)"は本盤の中ではやや地味に思われるリミックスで、残響が広がるパーカッションを効果的に用いてトロピカルな要素もあるが、オリジナルのエネルギッシュな勢いの影に隠れしまっているようだ。やはり本作ではNozawaとHosoyaの新鋭両陣によるオリジナルが新世代の躍進を証明しており、透明感のある清涼さとセンチメンタルなムードが彼等の個性を伝えるのだ。
  • Tracklist
      A1 Masanori Nozawa - Siki (Original Mix) A2 Masanori Nozawa - Siki (The Backwoods Remix) B1 Tomi Chair - Heat Haze (Original Mix) B2 Tomi Chair - Heat Haze (SofaTalk re-worked)
RA