Èbony vs 'R' - Real Truth

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  • 昨年8月、Créme OrganizationからサブレーベルJericho Oneが派生した(英語サイト)。設立者であるDJ TLRがこよなく愛するラフなテクスチャーを伴ったダークでフィジカルなテクノを打ち出していくレーベルだ。最初の3枚のレコードを担当したのはBNJMN(英語サイト)、Noface、House Of Black Lanternsといったアーティストで、最新作を手掛けるのは、Sylvermayne(もしくは、本作で名乗っているR)ことAndre E-RとJordan Gardnerだ。トロントを拠点にするふたりはÈbony名義で共に音楽制作を行っている。「Real Truth」と名付けられた本作は非常に印象的なデビューEPとなっている。 Èbonyが届ける表題曲は荒れ狂うインダストリアルテクノだ。トラックは全開に近い状態でスタートし、そこからさらに強烈になっていく。スネアや吹き抜けるようなハイハットが上乗せされ、ただでさえ暴力的なキックドラムの低域がブーストされる。ここで本当に印象的なのは脳裏にこびりつくボーカルパフォーマンスだ。冒頭で、"Is he real? I know he's real to me..." と寂し気な調子で歌う女性の声は、トラックが混沌としていくに従い、嘆きへと変わっていく。 Rのトラックはそれほど激しくはないが、それでも用途はレイヴに限られるだろう。"Focus"は焼け付くようなシンセが流れ込む中で爆発する張り詰めたビートツールだ。"Colossus"はつんのめるグルーヴに乗って緩急のある雰囲気の中を突き抜けていく。最初、トラックは強力に進んでいき、途中で勢いを弱めるものの、後に元の勢いに戻る。サウンド的にはどのトラックも素晴らしく鮮烈で、ざらついたテクスチャーをスムーズで金属的なテクスチャーで中和しながら、レコードスリーヴのように荒涼とした美しい光景を思い起こさせる。注目を集めるのはもちろん表題曲だろうが、「Real Truth」はいづれのトラックも一級品だ。
  • Tracklist
      A1 Èbony - Real Truth B1 R - Focus B2 R - Colossus
RA