Randomer - Concierge

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  • RandomerにとってClone Basement Seriesから3枚目となるリリース「Concierge」でも殺伐とした拷問のようなパーカッションが追及されている。「Angry Fiddle」や「Stupid Things I Do」があれほど爆発的に強力だったのはこのパーカッションがあったからだ。この2作品では少なくともシンセやベースラインへの興味が示されていたが、本作には断固として調性が存在せず、シュールなテクスチャーと不穏なムードをもたらす、加工されたサンプルの数々が扱われている。「Stupid Things I Do」に収録の"Percussion Workout"の2バージョンは"Concierge"と"Woodwork"に似ていると思う人がいるかもしれない。というのも、Rohan Walder(Randomer)は「Stupid Things I Do」の性急なドラムプログラミングからシンプルかつ緻密で、洗練されていて、粉砕するようなサウンドを導き出しているからだ。 先日、Machine Loveでのインタビューで、音楽を「もっと馬鹿」にした方がいいとUntoldから数年前にアドバイスを受けたとWalderは語っている。「最近は、フロアにクールだと思ってもらえるようなシンプルなトラックの中に自分が好きな複雑な感じを組み込む方法を見つけることができたと思う」と彼は説明しており、「Concierge」はこのアプローチの好例だと言える。本作はどちらのトラックにおいても力強い4つ打ちが組まれ、"Concierge"の乾いた金属音や、それを木材に置き換えた"Woodwork"の音など、そこへベーシックなパーカッション要素が重なることで、勢いが増し、フックとしての役割が果たされている。全体的にリズムや音色の面ではすべからく説得力があるが、今回の音楽を本当に輝かせているのはWalderが「馬鹿」な要素を使って行っていることだ。例えば、"Concierge"を支える機敏なタムや、"Woodwork"の解体されたドラムブレイクといったサウンドの存在にリスナーが気付かなかったとしても、こうした要素は的確に各トラックをダンスフロアで説得力のあるものにしている。
  • Tracklist
      A Concierge AA Woodwork
RA