Transparent Sound - Punk Mother Fucker

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  • Transparent Soundは主に90年代後半から00年代前半にかけて活動していたイングランドのエレクトロユニットだ。彼らの良作の多くはハウスやテクノとかなり相性がよく、パーティー中にねじれるような印象的な瞬間を創り出すのにうってつけだ。昨年、Nicolas LutzがRA podcastで彼らの"Punk Mother Fucker"をプレイすると、1ユーロだった同作の価格が100ユーロへと跳ね上がった(要ログイン)。Pressure Traxxからタイムリーな再発となった本作にはそんな事情があった。しかし、この片面プレスの12インチを単なるハイプだとか金儲けというのは語弊があるだろう。むしろ本作は過小評価されていた音楽に新たな息吹を吹き込むという熟成過程の好例であり、ある人にとってはゴミ扱いされる音楽が他の人にとってはモダンなクラシックとなることを思い出させてくれるエキサイティングなものだ。 "Punk Mother Fucker"を支えるのは808の乾いたタム、ハイハット、クラップによるリズムパターンだ。突き刺すような16音符のベースラインによって典型的なエレクトロ・マナーでダウンビートが強調されている。切り裂くスネアと昆虫系の鳴き声のような音から始まる序盤によって奇妙な雰囲気が醸し出されるが、合成したバッドのコード進行と4つ打ちキックにより、どっしりとした印象が保たれている。ヒップホップのトラックからサンプリングされた男性の声により、Bボーイカルチャーにおけるエレクトロのルーツと作品がつなぎ合わされ、中盤になると新たに颯爽としたパッドにより、センチメンタルな印象になるかならないかの狭間の空気がもたらされる。トラックは最小限の変化で展開している。"Punk Mother Fucker"がこれほど効果的なトラックに仕上がっている理由をすばり言い当てるのは難しく、それがこのトラックの強みとなっている。こうしたトラックが特別になるのは、特定のコンテクストで捉えられるようになったときだ。本作は隠れた名曲であり、素晴らしい再発盤だ。願わくば、本作がきっかけとなって、DJたちが埋もれたクラシック作品を自分たちの手で探すようになってほしいところだ。
  • Tracklist
      A Punk Mother Fucker