Schatrax - Vintage Vinyl

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  • ハウスミュージックには耳に残る謎のトラックがたくさんある。多くの人が耳にしていて認識できるにも関わらず、ほとんどの人がその正体を知らないというトラックだ。90年代を通じて、そうしたトラックがJosh Brentのスタジオから次々と生み出されていた。彼はワイト島出身のプロデューサーでSchatraxとして知られる男だ。全盛期を迎えていたころのBrentは複数の名義で多くの作品をリリースしていたが、最も反響を呼んだのはホワイトレーベルSchatraxだ。全体として見たとき、同レーベルのシリーズが確立したサウンドは約20年たった今でも新鮮であり続けており、そこには"Misspent Years"、"Champagne Dancer"、"Restless Nights"など、「アンダーグラウンド・クラシック」と呼ばれるような作品が多数含まれている。2015年末、Schatraxが突如復活し、そうしたクラシックや他の作品を再発し始めた。その最新作となる本作にはShatraxのダークな一面を映し出す3曲が収められている。 "Restless Nights"はBrentによる作品の中でも特に愛されている1曲だ。その理由はすぐに分かる。ダークでダビー、そして、少し荒く仕上げられた同トラックはLevon Vincentのようなアーティストによる冷ややかなハウスミュージックの到来を予告していた。今回フィーチャーされている"Restless Dub"はその別バージョンにあたる。原曲との唯一の違いはこれ以上ないというほど微細な変化だ。それにより、非常に印象的なディテールを持つキャッチーなベースラインがつんのめるようなリズムを生み出している。深みのあるローエンドにより、"Mists Of Time"にもスペーシーでひんやりとした雰囲気が漂っている。しかし、"Resless Dub"がジャッキンなのに対し、こちらには浮遊感がある。"Aliena's Journey"ではBrentのメランコリックな一面を垣間見ることができ、重心の低い厚みのあるグルーヴ上を悲しげなコードが漂っている。この嬉しい再発シリーズの全作品と同様、今回の3曲で示されているのは、現在に至るまでほとんど更新されることのなかったディープハウスの雛形だ。
  • Tracklist
      A1 Restless Dub B1 Mists Of Time B2 Aliena's Journey
RA