Tyler Friedman & Samuel Rohrer - YYY

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  • Tyler Fridmanの最新曲を聞くと、Kontra-Musikから発表した前作のアルバム、および、シングルと同じ制作過程から生まれていることが分かる。今回も歯切れのいい奇妙なサウンドが使われており、きめ細やかなモザイク状態を織り成しながら、微細に動くメロディとリズムを形成している。その一方で、"YYY"が別リリースとして切り離された理由も分かる。海中を思わせる深いサウンドながら、「Vulkalaunai / Wallouian」での方向感覚を麻痺させるような要素はなく、Friedmanによる作品の中でも極めて親しみやすく仕上がっているのだ。12分間に渡って、ベルの音色、ブリープ音、クリック音が見事に重畳し、その上をディレイの残響が陽炎のように波打っている。そして低域から立ち昇り、鳥のさえずりのように高らかに鳴り響くメロディがトラックをひとつにまとめ上げている。 "YYY"と一緒に収録されているのは、パーカッショニストであり、Max Loderbauerとコラボレーションを展開しているSamuel Rohrerをフィーチャーしたリミックスだ(本作をリリースしたのも彼のレーベルArjunamusicだ)。"リミックス"という言葉には語弊があるかもしれない。原曲の要素のほとんどは、Rohrerが様々なパーカッションを使って演奏したリズムパターンとして提示されているだけだからだ。そしてそこへTora Augestadによる即興のボーカルが加えられ、全く新しい構造に生まれ変わっている。Rohrerの演奏により、Friedman特有のシンセサウンドの世界からは離れているものの、ディテールに対する意識と、多様ながらも焦点の定まった構成に対する感性が共通しているため、まとまりが失われているわけではない。Augestadがメロディをいくつか口ずさむ序盤を経て、トラックはスモーキーでパーカッシブな展開へと進んでいく。それをリードするのは、4つ打ちの鼓動の中を酩酊しているかのように揺らぐトーキングドラムだ。そして終盤の数分間になると、グルーヴは安定した状態に落ち着いていく。ライブパーカッションによってトラックは原曲よりもバウンシーになっているものの、Villalobos以降のこのスタイルは間違いなくFriedmanらしさを感じさせる。
  • Tracklist
      A1 Tyler Friedman - YYY B1 Tyler Friedman & Samuel Rohrer - YYY (Drum & Vocal Dub)