Lowtec - Untitled

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  • 90年代後半あたりから、結果としてハウスと呼ばれている音楽領域が存在する。しかしそれは"ハウス"よりも適した呼称がないからであって、あまりにもダークで奇妙なその音楽をハウスと呼ぶのはどこか語弊がある。その多くは00年代にPlayhouseやPerlonといったドイツのレーベルから誕生し、その時代のミニマルDJたちの動向に影響を与えた(かといって、その音楽がミニマルであるわけでもない)。近年ではWorkshopからその音楽が届けられるようになった。同レーベルは、Kassem Mosse、Madteo、そして、レーベル設立者であるLowtecとEven Tuellらによるいびつで微細なクラブミュージックの発信地だ。特にLowtecは長きに渡ってこの手の音楽を制作する指折りのアーティストであり続けている。その証拠に「Mitre Peak」をチェックしてみてほしい。最近再発された2000年の同EPには、アンビエント、ヒップホップ、シュールなハウスといった要素を取り入れた浮遊感のあるトラックが収録されている(お得意の隠しトラックも収められている)。そしてスウェーデンの新レーベルblundarの第一弾となるLowtecの最新作でも、当時と変わらない彼の尖りっぷりが披露されている。 本作でDJ仕様のトラックは2曲のみだ。それ以外のトラックですらも決してクラブ向けに構築されているわけではない。くぐもったグルーヴがうねるA1ではフィルターとリバーブが多用され、ときおり逆再生のドラムループが使われたり、誤動作しているような展開がやみくもに抜き差しされたりしている。B1はさらに異質だ。心地よく疲弊したようなコードと逆再生のドラムループの素材が長時間に渡って用いられている。トラック全体がまるでサンゴ礁の下でカサカサと移動するカニのように横歩きしている。 一方で、これ以上ないというくらい実験的なトラックも制作されている。A2は心地よく荒涼としたアンビエントだ。悲痛に満ちたシンセの嘆きからスタートするこのトラックでは、ドラムを使わないぎこちないリズムが出現する。彼方から聞こえる霧笛のような轟くコードとBPM103でシンコペートするグルーヴを伴うB2にはAndy Stott的な雰囲気が漂っている。mutantextureによる見事なスリーヴデザインと同様、全4曲も瑞々しく、そして同時にくすんでいる。つまりそこには、Lowtecの音楽の魅力である、どこか落ち着かないコントラストが描かれているということだ。
  • Tracklist
      A1 Untitled A2 Untitled B1 Untitled B2 Untitled