Unknown Artist - Grey Area 003

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  • Grey Area Volume One」と「Volume Two」によって同シリーズのサウンドイメージが定められた。それはつまり、Samurai HoroとAuxiliaryというふたつのレーベルによる、純粋に音楽だけへ焦点を当てた暗鬱なモノクロームサウンドだ。これまでにリリースされたトラックではダブステップ、ドラム&ベース、そして、テクノの境目が今まで以上に取り払われてきた。それはSamurai Musicや関連アーティストたちが取り組み続けてきた領域である。 「Volume Three」で鮮烈なのは小刻みに変動するビートを包み込む空間だ。例えば"1"では冷ややかに吹き付けるサウンドによってドラム&ベースの解体物が静止している。他にも"3"の背後ではヒスノイズが渦巻き、トラック全体を澱ませているし、"4"は暗くじっとりとした洞窟から出現しているかのようだ。唯一の例外は"2"だ。スタッカートで打ち込まれるヘヴィなリズムが最初からリスナーの意識に襲い掛かる。それはまるで有毒な排気ガスをまき散らしながらエンジン音を立てるモーターバイクのようだ。汚染された音場に鎖帷子が揺れるような音とまどろむベルの響きが加わり、荒々しく混沌とした空間でトラックが膨張していく。「Volume Three」の制作者が誰なのか推測するのは的外れな行為ではあるが、これまでの作品と比較する限り、Red Sealから発表されたENAの最新作が本作に一番近い。
  • Tracklist
      A1 1 A2 2 B1 3 B2 4
RA