Shy One - Other Side

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  • Shy Oneが5年前にScratcha DVAのレーベルからデビューしたとき(英語サイト)、UKファンキーから派生した面白いサウンドを作るアーティストとして映った。ところが大胆なアイデアをさらりとした感覚で実現する彼女はそれゆえに見過ごされがちだった。そしてリリース量が少なかったことも影響していた。しかし、日本のレーベルDiskotopiaに提供した今回のEPを聞くと、ロンドンのプロデューサーである彼女にとって前作から4年ぶりのリリースとは思えない。むしろ4か月ぶりのリリースであるかのように感じられる。以前よりも少しだけ洗練度と完成度が増しているが、基本的な部分は変わっていない。UKファンキーのバウンシーなシンコペーションを様々な路線で面白く打ち出している。こうした要素が今でも面白く感じられるところもShy Oneのポテンシャルを物語っている。 "Other Side"ではGファンクのサンプルのような素材(気怠いラップ、ポルタメントで鳴らされる高音シンセリードなど)が歪められたり圧縮されたりしながら、トラックは夢心地のオープニングから荒々しいエンディングへと展開していく。バウンスしながら多様な構成を見せるには相当なスキルが必要だが、これまでのトラックと同様、軽快なムードが漂っているため、いとも簡単にやってのけているような印象だ。他の収録曲ではソウルフルなコードが中心部と前面部に配置されている。例えば颯爽とした4つ打ち上で存分にコードが打ち鳴らされる"Mic Man"はBlunted Robotsと初期のNight Slugsをアニメっぽく融合させたようなトラックだ。その一方で"Beans"ではテンポがゆっくりになり、高密度で重ね合わせたパーカッションがビートを弄んでいるかのよう揺らいでいる。ラストの"That Certain Something"では"Mic Man"と"Beans"の中間に位置するスピードとアイデアが採用されているが、少し残念な仕上がりとなっている。なぜならShy Oneにはもっと鮮烈なアイデアがあるはずだからだ。そうしたアイデアを模索する彼女の作品が届けられるまでに今度は4年間も待たなくてもいいことを期待したい。
  • Tracklist
      01. Other Side 02. Mic Man 03. Beans 04. That Certain Something
RA