Ondo Fudd - Blue Dot

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  • Call SuperことJoe Seatonはこの5年間で素晴らしくなる一方だ。開放的で強力なテクノトラック"Coup D'Etat"(英語サイト)で2014年に初登場したプロジェクトOndo Fuddは、今やSeatonが最も面白い作品を発表する拠点となっているようだ。ダンスフロアに対して気負わないアプローチが取られた「Blue Dot」ではきらびやかなビートレストラック"Blue Dot"が1曲目に収録されている。 "Blue Dot"のサウンドはRoland P. Youngのような自主制作実験者からECM Recordsにまで通底する電子音響ジャズの流れにあてはまる。偶発的なウィンドチャイムに始まり、大きくうねるクラリネットのソロが入ってくるまでの同トラックは、この半世紀の間に先鋭的なアーティストが制作していそうなサウンドだ。このトラックはEPのBサイドに追いやられるのではなくAサイドに収録されている。そこで示されているのは、この手のプロデューサーにとってThe Trilogy Tapesが非常に頼もしいレーベルであるということだ。 Seatonは異質なテイストを持っている一方で、Houndstoothから効率的なダンストラックをリリースしている他、毎週DJとしても活動する一面も持ち合わせている。"Blue Dot"の物悲しい感覚は"The Fludd"にも漂っているが、こちらではタムを多用したバックビートが組み合わされている(嘘だと思うかもしれないが、モチーフになっているのはIggy Popの"Lust For Life"のイントロかもしれない)。その後、激震のブレイクへと展開していく"Blue Dot"は2016年屈指のユニークなトラックだ。 本作を壮大に締めくくるのは7分間に及ぶ"Veto Plank"だ。ここではOndo Fudd名義の主たる要素が明確に示されている。Aサイドでパンニングがかけられていたニューエイジシンセに代わり爪弾くようなアルペジオが使われている。Ondo Fuddの多様なトラックと同様、Seatonはキャッチーなアルペジオフレーズによってトラックをひとつにまとめながら、ダビーで実験的なアレンジを思う存分行っている。ブレイクダウンではヘリコプターブレードの旋回音に似たサウンドに対してDX7のきらめくサウンドが使われている。サイケデリックな波の中でしばらく耐えていると再びアルペジオが聞こえてくる。そのときの安心感は救命具を投げ込んでもらえたときのそれに似ている。
  • Tracklist
      A1 Blue Dot A2 The Fludd B1 Veto Plank
RA