- 大バコ仕様のテクノをこれまでにリリースしてきているフランスのレーベルSingular RecordsからShlømoの最新シングルが届けられた。デビュー当時、Boards Of Canadaの叙情性とミニマルテクノのダンス性を結びつけようと模索していた彼は、Dial時代のPantha du Princeの諸作品に決定的な影響を受けたという。そのメランコリーなダンスミュージックは、まさにShlømoの求めていたものであり、彼もパッドやシンセサイザーによるフレーズを多用して自分の求めるムードを表現するようになった。最近では力強いビートにより徐々にハードな作風になっていたが、Norman Nodgeのリミックスと共に本作へ収録されているオリジナルトラック3曲では、フロアでの機能性と同時に妖しく冷ややかに醸し出される雰囲気が実現されている。
“Titan”では1発目のキックが鳴った瞬間、天井の高いウェアハウスで映えそうな低域の鳴りをしていることが分かる。モノトーンなビートに鋭い裏打ちハイハットが打ち付けられる序盤の展開にはミックス欲をくすぐられる。数種類のハットの残響が緊張感を高める”Memento Mori”では、フィルターを効果的に使ったノイズ素材と幽玄なパッドが深い渓谷を覆う濃霧空間を演出。この2曲と目指しているムードは同じながら、キックの数を減らしてタメのあるグルーヴに挑んでいるのが”Void Axis”だ。引き伸ばしたような叫び声が鋭いシンセフレーズのループに重なっていく中、次々とSE的に素材が投下される。目立った展開はないが、じわじわと忍び寄る切迫したムードは深い時間帯に映えそうだ。Norman Nodgeのリミックスでは、シェイカーに意識を引き付けられる。微細に変化し続けるうちに輪郭を失い、中盤、熱を帯びたように共鳴を始める様は静かな盛り上がりを呼ぶだろう。
TracklistA1 Shlømo Titan
A2 Shlømo Memento Mori (Ft. AWB)
B1 Shlømo Titan (Norman Nodge Remix)
B2 Shlømo Void Axis