Gaunt - Crowd Noise

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  • No Symbolsから自身のトラックをリリースしていたBeneathは他のプロデューサーたちの作品を紹介するべく2014年にMistryを始動した。これまでに発表された5作品を聞くと、No Symbolsと同じくドラム素材が無骨で殺伐とした鳴りをしていることが分かる。既に世に出回っているレコードをサンプリング/カットアップして、別のビートに作り変えていくジャングルに代表されるように、既存の音楽からの影響を複数組み合わせ、独自のものへと作り変えていくUKサウンドの伝統的アプローチも健在だ。Mistry作品ではその点がビートプログラミングにおいて顕著に表れており、若干20歳のGauntによるデビュー作「Crowd Noise」に収録された4曲は、テクノの音響的一面と、ダブステップやドラム&ベースにおけるビートの実験性を組み合せている。 本作はPinch & MumdanceとLivity Soundの作品を混ぜ合わせて割ったような仕上がりだ。”Crowd Noise”や”SP12”は”Turbo Mitzi”の痙攣シーケンスを彷彿とさせる。表題曲での連打キックは拍を刻むためというよりも、低域の衝撃をもたらす音素材として使用されている。上モノは使われていないが、低い帯域でサブベースが豪快にうなっているため、フロアが温まっている時間帯に飛び道具としてプレイしたくなる。Pev & Kowtonの”Signal 3”をBeneathがリミックスしたのかと思わせられる”MMRH”では、No Symbolsで多用される薄っすらとした怪しげなパッドシンセを背景にソナー音と歪ませたキック、そして16分のシェイカーでビートを組んでいる。数種のメタリックなサウンドが執拗に鳴り響く”JP”では、バッドトリップしたボイスサンプルが混濁とした密室的な雰囲気を演出している。その空間を切り裂くような鋭いオープンハイハットは効果的にフロアを盛り上げそうだ。
  • Tracklist
      A1 Crowd Noise A2 JP B1 MMRH B2 SP12
RA