Champion & Four Tet - Flip Side / Disparate

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  • UKファンキーとベースラインを毅然と支持し続けるChampionは、イメージだけで考えるとFour Tetのコラボレーション相手として奇妙に思える。彼はMeléFlava DTerror Danjah(いずれも英語サイト)といった仲間たちと素晴らしい仕事をしてきたが、2013年にFour Tetの"Kook FM"をリミックスしたときは、傑出した仕上がりながらも、『Beautiful Rewind』におけるロンドン的な海賊ラジオの感覚を引き続き感じさせた。それから2年が経った今、Kieran Hebden(Four Tet)は自身のレーベルTextから2曲入りのEPを発表してふたりの関係をさらに深め始めた。多くの人はHebdenの関連作ということで「Flip Side / Disparate」に引き寄せられるのだろうが、Championの存在感がもたらすインパクトも決して引けをとっていない。 まめにチェックしている人ならばこの2曲が最近のミックスに使われていたと気付くはずだ。そのミックスとはFour TetによるDekmantelのポッドキャストと、Jamie xxとFour Tetで担当したEssential Mixだ(英語サイト)。両トラックはUKクラブの伝統にしっかりと根付いており、その伝統を神聖なものではなく遊具として上手く活用している。"Flip Side"は基本的に、ニュージャージーのハウスデュオBlazeによってプロデュースされた1995年のクラブヒットDe'Lacy "Hideaway"を再現したものだといえる。熱気にあふれ、聞く者に活力を与えるボーカルが、UKガラージの小刻みなグルーヴや、Championによる圧縮空気のようなベースラインに組み込まれている。ガスのような病みつきになるベースラインはリワインドによって確実に歓声を巻き起こすだろう。"Disparate"ではDebelah Morganの"I Love You"のネタを極めて繊細な美しいサウンドに変化させるなど、サンプルをさらに抽象的に使っている。それによってトラックには愛らしいメロディフックが生まれ、独特の雰囲気を携えた鳥のさえずりや、シンセによるまばらな装飾音が引き立てられている。シャープなジャブのようなパーカッション、共鳴するベースの重み、軽快なリズム感など、Championからの影響によって繊細なタッチと不可欠な鋭さが生まれている。これぞまさに完ぺきな組み合わせと呼べるものだ。
  • Tracklist
      A Flip Side B Disparate
RA