R406 - Chiba boy #2

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  • デトロイト・テクノからの強い影響を公言するYonenegaが、Zarigani.Rec名義でも活動しているChick Tack Coreaと制作した「Chiba boy #1」は、リリース前からもDerrick Mayが積極的にプレイしていたように確かにデトロイトの叙情性を吸収したものだった。日本からデトロイトへの愛を叫ぶ作品としては伝わるものがあったが、本人曰く「10年前にリリースされていたとしてもおかしくない」という批判も受けたそうで、流行の移り変わりが早いダンス・ミュージックのシーンの中で持て囃される古典を除いて、古臭いという表現は相当に厳しいものだ。 しかしそんな批判を糧にYonenagaは更なる前進をすべく、前作とは異なるソフトシンセも用いて制作したのが"Room of Glass"だ。確かに音自体にも変化は見受けられよりモダンに洗練された感覚を帯び、そして構成自体も派手さを抑えながらより機能的なグルーヴ重視へと進化している。高揚感が積み重なるように薄く伸びるシンセのリフ、隙間を活かしながら爽快さを伴う4つ打ちのリズムは、前作よりもすっきりと纏められながらミックスされてこそ映える曲に仕上がっている。他の2曲は前作リリース時には出来上がっていた曲だそうで、それらはデトロイト色の叙情性をより強く打ち出している。ぶいぶいと分厚いベースが主張する中から覚醒的なシンセのリフが浮かび上がってくる"Low-altitude Flight"は、その壮大なメロディーがさながらデトロイト・テクノを思わせる点があり、"Fairies in the forest ver.2"は華やかなシンセのフレーズに切れのあるハイハットが疾走感を生み、美しさとボジティブな心象が伺える。本家デトロイトからなかなか名作が生まれない状況下で、R406はそれを穴埋めするような作品を生み出しており、叙情と機能を両立させた個性が生まれつつあるのではと感じられる。
  • Tracklist
      A1 Room of glass A2 Low-altitude Flight B1 Fairies in the forest ver.2
RA