Borusiade - Jeopardy EP

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  • ニューウェーブ、ダークウェーブ、ミニマルシンセといったサウンドは、それぞれの誕生から10年以上を経た今も存在し続けている。その理由はおそらく、ノイエ・ドイチェ・ヴィレ、日本の第四世界の音楽、そして、ダウンタウンのディスコ・ノット・ディスコが今でも著しく有意義だからだろう。もしくは、RAの2015年の総括(英語サイト)でWill Lynchが示したように、ここしばらくは創造性が行き詰まりの状態になっているのかもしれない。いずれにせよ、複数のスタイル間で驚くような方向性を見せてくれる内容ならば、過去に倣った作品であっても、新しく発表されるごとにその面白さは増す。そしてそれはルーマニアの新人Borusiadeが自身のEP「Jeopardy」で成し遂げていることだ。 Borusiade(本名、Miruna Boruzescu)の支持者にしてCómemeのレーベルメイトであるLena Willikensと同じく、彼女も刺激的なセレクターであり、DJ HarveyによるSilver Applesのリミックスや荒々しいモダンなテクノに合わせてNitzer Ebbをプレイするようなタイプだ。Willikensのときもそうだったが、今回のデビューEPもそうした混沌とした性格に見事にハマる内容になっている。「Jeopardy」において中枢神経系としての役割を果たしているのはJohn Carpenter風のダークなアルペジオであり、"Haunted By Flashlights"はKnight Riderのテーマ曲を少し不器用にした感じと言えるかもしれない。"Spellbound (Surrender)"では、ダークなアナログサウンドが能天気なディスコハットにミックスされることで陽気な感覚が生まれており、見事な表題曲にもその感覚は浸透している。 "Jeopardy"はファンキーだが、そのムードのため、率直に素晴らしくダークな内容の歌詞が嘘のように思える。その歌詞ではBoruzescuがラジオから絶え間なく流れてくる"死にゆく世界"のニュースを耳にして、失恋を気にしていた自分に羞恥心を感じたことをつぶさに表現している。辛辣なニューウェーブトラックである”Jeopardy”は、Jeffrey Sfireのアンダーグラウンドヒット"Track 2"と似通っており、もしかしたら同等の人気を集めるかもしれない。その他のトラックでは、EBM/インダストリアルの巨大なドラムサウンドがイタロ的な要素で彩られているが、そのサウンドはWillikensのEP「Phantom Delia」とそれほど違わない。80年代に影響を受けたこうしたスタイルを、"ニュー"ニュービート(この10年を生きてきたほとんどの人が一度も聞いてこなかった作品にインスパイアされたサウンド)という全く違うものとして分類するときが来ているのかもしれない。
  • Tracklist
      A1 Spellbound (Surrender) A2 Haunted By Flashlights B1 Jeopardy B2 Rescue B3 Dancer's Doom