Brendon Moeller - The Return

  • Share
  • Brendon Moellerは優れたダブ作品をいとも容易く制作できるようだ。切れのいいドラムサウンド、深みのあるベースライン、そして、冷たくおぼろげな雰囲気に対する彼の音楽性が上手く表れていないトラックは、この10年間で皆無に等しい。しかし近年、彼が生み出す機能的なグルーヴは強烈で酩酊感のあるものへと徐々に変化している。特にそれが表れているのが『The Return』だ。Moellerにとって7年ぶりとなるThird Earからの復帰作において、彼はかなりざらついたテクスチャーと戯れており、トリップ度がさらに増している。 AサイドではいつものMoellerを聞くことができる。"Ode To The Basement"は囁くようなダブワイズ・テクノだ。粉々に打ち砕くドラムサウンドと微細な変化をもとに構築されている。"Blowback"でも同じく聞き馴染みのあるダビーなサウンドが使われているが、"Ode To The Basement"よりも驚きは少ない。タイトに組まれたパーカッションパターンにより、疾走感のある力強いDJツールが実現されている。Bサイドでは奇抜な路線に進んでおり、印象的な効果が生まれている。"Dude On Arrival"では、吹きざらしで腐食した空間を抑制したドラムサウンドが重々しく歩を進め、一方の"Complete Disregard"では、荒々しい機械音のまわりをトラックがゆっくりと展開していく。タイトル("Complete Disregard"、完全無視という意味)が示唆しているように乱雑なトラックだが、ヘヴィでヒプノティックなスウィング感により、親しみやすさが保たれている。
  • Tracklist
      A1 Ode To The Basement A2 Blowback B1 Dude On Arrival B2 Complete Disregard
RA