Crash Course In Science - Jump Over Barrels

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  • Crash Course In Scienceというバンドには、パズルのようにつなぎ合わせなければならない歴史がある。彼らは変わったアプローチを持つポストパンク・トリオバンドとして70年代後期に結成され、従来の楽器演奏を玩具や家電製品に置き換え、鮮烈で、時に滑稽なポストパンクを作り上げた(1979年のデビュー作『Cakes In The Home』には独自のあざとさと言えるものがあった)。年月が過ぎていくにつれ、フィラデルフィアのバンドである彼らは自作シンセを取り入れるようになり、ニューウェーブに影響を受けたドゲのあるサウンドへと結実していった。その音楽は「Signals From Pier Thirteen」(昨年、Dark Entriesにより再発されている)で初披露され、1981年にレコーディングされたフルレンクスアルバム『Near Marineland』にて頂点に達したが、2009年のオムニバスボックスセットの一部としてVinyl-On-Demandがプレスを行うまで、同作は一度もリリースされていなかった。今回、Dark Entriesは『Near Marineland』のベストトラック"Jump Over Barrels"を取り上げて、Charles Manierによる傑作リミックスと一緒に収めた12インチを発表した。 『Near Marineland』をレコーディングした頃のCrash Course In Scienceは、よりダークでリズミカルになっていた。そのスタイルはダンスフロアと相性がよく、"Jump Over Barrels"は第二の人生を見い出すことになった。トラックが持つ神経質なエネルギーの感染力は強く、カフェインを摂取し過ぎた人がシーケンスを組んでいるようなサウンドだ。荒々しく奇抜なサウンドから、鼻声のボーカルまで、同トラックは衝動的で少し怒りに満ちているが、そこにユーモアが忘れられることはない(ボーカルのMichael Zodoroznyは何故こんなにも「Carolと付き合わなければならない」ことを不満に思っているのだろうか?) 本作ではオリジナルバージョンに加え、デモバージョンとリハーサルレコーディングがセットになっているが、どちらも同トラックの知られざる一面を明るみにしているわけではない。ここで本当に魅力的なのはTadd Mullinixの別名義Charles Manierによるリミックスだ。これまでのところ彼は痙攣するようなエレクトロを制作するときに、この名義を使っている。そしてそれはまさに、今回のごつごつしたブロークンリミックスで彼が表現していることだ。刺々しさに拍車がかかり、ボーカルは何かで覆われ、気軽な感覚は完全に隠されてる。原曲とは異なるムードだが、キケンさは一切失われていない。それはつまり、Dark Entriesによる突出したキュレーションの表れである。
  • Tracklist
      01. Jump Over Barrels 02. Jump Over Barrels (1981 Demo) 03. Jump Over Barrels (Charles Manier Remix) 04. Jump Over Barrels (Early Rehearsal Version)
RA