Max Graef Band - Dog

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  • Max Graefはファンク、ジャズ、ソウルの完ぺきなコレクションを所持していると思って間違いない。ベルリンの若きDJである彼のセットからだけでなく、自身のレーベルBox Aus Holzでの初期シングルや、Tarteletからの2014年のアルバム『Rivers Of The Red Planet』で使用していた多くのサンプルネタからも、そのことが分かる。しかし、レコードディギング仲間であるGlenn AstroやDelfonicと共に運営するレーベルMoney $exからのファーストアルバムでは、昔のレコードのサウンドが基調にされているだけでなく、昔と同じ手法でレコードが制作されている。『Dog』でのGraefは、コンピューターの代わりにベースギターを手にしており、友人を集めてライブジャズファンクのジャムセッションを行っているのだ。 「ジャズファンク」や「ジャムセッション」と聞くと、親指で弾くスラップベースソロよりも速い、小刻みな高速演奏を想像するかもしれないが、本作はスウィングしており、数分間にギュッとまとめられたトラックはどれも素晴らしいバンドによって演奏されている。"Dog"で聞けるとおり、Graefの自信溢れるベースにつられて、トラックが誇示するようなグルーヴに落ち着いていく場面では、プレイヤー同士の間にリアルな直感性が存在する。この手のサウンドにしては、Kickflip Mikeによるドラミングは落ち着いており、4つ打ちのバスドラムがしっかりと打ち付けられているので、"CBOLX"や"Die Elektrische"をGraefの大胆なハウスセットに組み込むこともできそうだ。Graefにとって父親的ジャズミュージシャンであるGerry Frankeが演奏する滑るようなギターソロの他、頭を上下に振りたくなるキーボードや、素早いベースを伴った"CGI"には、80年代のアシッドジャズの精神が漂っている。 しかし『Dog』には気になる点も漂っている。本作は素晴らしいのだが、Graef率いるバンドは70年代/80年代の音楽をそっくりそのまま真似ただけで、何か新しい要素を加えているわけではない。ジャズファンク/レアグルーヴの愛好家たちが探すような当時のオリジナル音源は実質無限に存在する。そして、本作がこの手のサウンドに興味を持っていない人を振り向かせることもないだろう。彼らがスタジオで「whoop!」や「hey!」と口にしているのが聞こえる"Tangerine"では、『Dog』の大部分は単にGraefと仲間が楽しんでいるだけの作品だということが明らかになる。
  • Tracklist
      A1 Dog A2 Skit A3 CBOLX A4 Der Weisse Vogel I A5 Tangerine B1 Mathilda Lilith Emilia B2 Die Elektrische B3 Der Weisse Vogel II B4 C.G.I. B5 Der Weisse Vogel III