Marquis Hawkes - Chances

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  • 「Chances」で締めくくった2015年は、ベルリンを拠点に活動するロンドン出身のMarquis Hawkesにとって素晴らしい年だった。この年、彼はミックスを通じてRadio 1を華やかに演出し、YouandewanやTimothy Blakeといったアーティストのリミックスを行った。さらに数々のフェスティバル出演(いずれも英語サイト)で知名度を高めた他、Houndstoothから多くの要素を含んだ2枚のEP(英語サイト)をリリースしている。しかし今回の控えめなハウストラック3曲はどれも、その勢いをごまかすかのように、シンプルなアレンジメントとソウルフルなサンプル使いを最大限に活用している。 「Chances」という名前からもっと冒険心のあるサウンドを期待する人がいるかもしれないが、本作は一貫して芯のある明快な内容だ。Houndstoothからの作品「Raw Materials」と「Sweet」では、ジャッキンなドラムマシン、ニクいアレンジのブーギーハウス、ディープなグルーヴなど、様々なアイデアが特色となっていたが、本作の彼はBPM123近辺の明るいディスコに専念している。それにより、DJにとっての利便性は制限されることになったが、Hawkesには良い結果がもたらされている。 両手を高く突き上げたくなる活性とガラージ的なシャッフル感、そして、ダイナミックなフィルター使いを駆使した"Chances"は本作で一番注目を獲得するトラックだろう。このトラックと、ファンキーにバウンスする"A Very Deep Groove"は、伝統的なTodd Edwardsの音楽性をかなり取り入れている。そのため、サンプルのカットアップを使わない"Free Of Sin"は嬉しい変化球だ。Hawkesは雰囲気を軽やかに保ちながら、はつらつとしたシンセパターンとディスコストリングスのみを加えて、ドラムサウンド主体のミックスを行っている。暖かく祝祭ムードに溢れるトラックとミックスできそうな控えめなDJツールだ。
  • Tracklist
      A1 Chances B1 A Very Deep Groove B2 Free Of Sin
RA