Aquarium / 外神田deepspace - Midnight At The Tokyo Central

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  • この12インチを聞くまでAquarium(aka 外神田deepspace)について耳にしたことは無かった。しかし、1曲目の"首都光速"が鳴りだした瞬間、彼の音楽を聞いたことがあるように感じた。その理由はクラシックながら現代的な彼の制作手法にあった。日本人プロデューサーの彼はハッキリとしたデトロイト的テクスチャーからトラックをスタートさせ、長く流れていくメロディを加えた後、ワセリンをべっとりと塗り付ける(Mood Hutのアーティストが昔のTransmat作品を作ろうとしているのを思い浮かべてほしい)。デビューEPに限って言えば、本作は今年後半で非常に強く意識を惹きつけた作品のひとつだ。 「Midnight At The Tokyo Central」にはクレジットされているふたつの名前は別々のパーソナリティーを表している。Aサイドには威厳を強く感じさせる外神田deepspace名義のトラックが納められ、ダンスフロアの躍動感あるリズムを強調している。しかしこれは相対的に見たときの話であって、トラック3曲すべてにはゆったりとした落ち着きが保たれている。"深夜2時04分 代々 木"のドロドロとしたアシッドラインは固まっていき狂騒を掻き立てる。一方、"首都光速"は気怠い足取りのビンテージデトロイトだ。"ヘッドライツ"におけるテトリスのようなブリープ音(本作でデジタルサウンドに聞こえる数少ないサンプルのひとつ)ですら重々しく、コンピューターがすぐに起動しなかった時代から持ってきて浮かべているように感じられる。 BサイドではAquarium名義によりディープでエモーショナルな内容が展開されている。"西新宿"はガーゼのようなアンビエンスに飲み込まれ、夜明け前の静けさがとても心地よい場面に訪れる。その後、ようやくトラックの展開が始まるのだが、ゆっくりと徐々に積み上げられていく。Shimmering Moodsのコンピレーション『Meditations 1』に収められていたAquariumのトラック"Rainy Night In Shibuya"を外神田deepspaceがリミックスしたトラックによりEPが締めくくられる。このリミックスは彼の才能がこれまでで最も独自に表出した例だ。アンビエントノイズでできた幕の向こう側でアルペジオがゆっくりと紐解かれている。トラックが終了するまでに、リスナーはAquariumによる水中にいるような雰囲気のハウスの世界に心地よく包まれることになるだろう。
  • Tracklist
      A1 外神田deepspace - 首都光速 A2 外神田deepspace - 深夜2時04分 代々 木 A3 外神田deepspace - ヘッドライツ B1 Aquarium - 西新宿 B2 Aquarium - Rainy Night in Shibuya (外神田deepspace Slow Down Mix)