Contours - Technician

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  • 「Technician」はドラマーによるEPだ。本作からはそのことが分かる。Tom Burford(Contours)による土着的なパーカッションが顕著だからだ。シェイカー、タンバリン、スキン系パーカッション、ウッドブロックなど、ここにはすべての打楽器が登場する。しかし、激しく打ち立てるのではなく、ふくよかなハウストラックの一部を優しく撫でているだけで、主役を担うものでは決してない。マンチェスターを拠点とするプロデューサーの彼が生み出す太くリズミカルなフレームには、Rhythm Section作品に共通する暖かくくすんだサウンドの混合物が重ね合わされている。"Technician"、"Back And Forth"、"GreenYellowBrown"上では、Floating Pointsの作品で聞けるような、ざらついたブーギーシンセが躍動しているが、それ以外のトラックはアフロビートとジャズの影響が厚く擦り込まれている。 収録されたトラック6曲は丹念に制作されているが、もしかしたら、丹念過ぎるかもしれない。Burfordは頻繁にかつての自分に回帰するところがあり、あるトラックとその次のトラックの違いが、テンポや、少し色付けをしたシンセだけの時もある。"Seven Arched Tongues"ではギアをチェンジして加速しており、Burfordのドラムはさらに跳ね感を増し、体鳴楽器によるメロディが圧搾音を立てるシンセと共に見事な組み合わせを成している。"Blossom Towers"における口笛のループと狂ったように連打するドラミングも、それだけで強い個性を発しているが、それ以外の部分はBurfordが自身の音楽性をあまりにも薄く引き伸ばしているように感じられる。
  • Tracklist
      A1 Technician A2 Eyes Down A3 Back And Forth B1 Seven Arched Tongues B2 Blossom Towers B3 GreenYellowBrown
RA