Unknown Artist - Plus 8 25/1

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  • さて、まずは分かっていることをまとめてみよう。Plus 8はRichie HawtinとJohn Acquavivaによって運営され、時代を決定づけた90年代のテクノレーベルだ。今月、25/1とナンバリングされた新作12インチが発表されたが、それ以外のことに関して、同作は謎に包まれている。誰による作品なのかは不明であり、Hawtinサイドはその存在を知らないと主張している。謎に迫る唯一の手掛かりは、同作のラベル上に書かれた「From my mind to yours」というメッセージだ。Plus 8が1991年に発表した重要コンピレーション『From Our Minds To Yours Vol.1』をもじったものである。Kenny Larkin、F.U.S.E.、Speedy Jなどによるトラックを収録した同コンピレーションは、大西洋を挟んだ両大陸におけるミニマルテクノ新時代の幕開けに貢献した。さらに先日、「25/2」が発表されたが、おそらくそれは、25周年を祝うアニバーサリーシリーズとして展開していくことを示唆している。 どんなシナリオが描かれているにせよ、「25/1」の音楽は、本作の謎をそれなりに正当化している。本作で聞くことができるのは、『Artifakts (bc)』時代のPlastikmanのような、無駄のない不気味なスタイルによるトラック3曲だが、そのスピリットは先進的というよりも懐古的だ。"No Way Back"は、テクノセットにおいて程よくテンションを保ちそうなトラックではあるが、かなり標準的なアシッドツールとなっている。"Stretching"は十分に魅力的なビートトラックだ。不気味なパッドと時折挟まれる逆再生したループを用い、ストロボライトに映える変化球に仕上がっているが、こちらも少しおとなしめだ。"Simple Simon"は、即効性のあるハイハットパターンと、ふたつの音から成る主張力の強いベースラインにより、前述のトラック2曲よりも活力がある。収録トラックはどれも、その参照元となっているクラシックなPlus 8作品(その多くは四半世紀が経った今でもキケンなサウンドだ)と比べると無難だ。同レーベルの伝統にしっかりと従うには、「25/1」よりも鋭いサウンドが必要になるだろう。
  • Tracklist
      A1 No Way Back B1 Stretching B2 Simple Simon