Oneohtrix Point Never - Garden Of Delete

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  • ブルックリン在住のDan Lopatin(Oneohtrix Point Never)はすべてを備えている。ボストンの小さなギャラリースペースでRolandのJuno-60を演奏し始めた彼は、今では小さな帝国を築くまでになった。彼は自身のレーベルSoftwareを通じて、若手アーティストをサポートしている他、Warpから解放され、創造の自由を存分に享受し、さらに、映画音楽を担当し、Nine Inch NailsやSoundgardenと共にツアーに繰り出している。このツアーでの経験が『Garden Of Delete』を形作っている。本作はリスナーを敢えて、ケバケバしく野暮ったいグランジと、多様な電子音を伴うシンフォニックなメタルの統合物から引き離そうとする作品だ。Oneohtrix Point Never(OPN)名義の最新アルバムにおいて、Lopatinはこうしたジャンルに高解像度のニューエイジとIDMを移植しながら、同時に、ナイロン弦によるプログレッシブロックと、オートチューンによるラジオポップにも取り組んでいる。なんとも奇想天外な『Garden Of Delete』には、Ezraと名付けられた青年エイリアンと、Kaoss Edgeと呼ばれる”ハイパーグランジ”バンドとの架空のコラボレーションという、アイデアも含まれている。 『Garden Of Delete』においてLopatinが狙いにしているのは、高尚なジャンルと低俗なジャンルを等しく土台にすることだ。彼はこれまでシンセサイザーを昔の塗料になぞらえてきたが、2曲目の"Ezra"では、そんな彼の滑稽な一面が展開されている。同トラックはOPNが塗り絵をしているかのようなシンセのカットアップからスタートし、不意にグランジギターが投入された後、加速してエピックトランスへと変化していく。トラックの終わりに向かって、彼は安っぽい鳴りのディストーションを忍び込ませている(BossのDS-1とCrateのアンプだと思われる - 90年代の意欲的なロックミュージシャンが使っていたのと同じセッティングだ)。多岐に及ぶヴェイパーウェイブを展開するChuck Person名義を感じさせる"ECCOJAMC1"を経て、次のトラック"Sticky Drama"では、激しいビートとデスメタルのボーカルによるスクラムに、Ezraのオートチューンボイスが導入されている。 『Garden Of Delete』にて重ね合わされる不可解なユーモアを切り裂くのは、Ezraのエイリアンボイスだ。OPNにとって初めてのポップソング"Animals"におけるファルセットは、Bon IverのJustin VernonとChief Keefがデュエットした『Yeezus』の"Hold My Liquor"と同じ路線に、同トラックを位置づける。自分自身をバラバラにしようとするのではなく、美しいものに向かって励んでいる時の方が、Lopatinは一番輝いている。例えば、ミニマルテクノの鼓動からスタートする"Mutant Standard"では、4分が過ぎる頃、スリリングなアルペジオが次々と解き放たれ、揚々とした楽観的ムードのリスナーを凍えさせる。劇的な瞬間ではあるが、同時にそれは『R Plus Seven』(英語サイト)のハイライトである"Boring Angel"で使われている”嵐の前の静けさ”的なトリックだ。実のところ、『Garden Of Delete』の最良部分は、以前のアルバムを引き継いでいるものが多い。"Child Of Rage"の土台となっている乾いたジャズクラブの感覚は、『Replica』(英語サイト)のタイトルトラックを格別なトラックにしていた要素だ。『Garden Of Delete』では、疑問の余地が残るスタイルや精巧に入り組んだコンセプトに関心が寄せられており、『R Plus Seven』で大きく躍進した後も面白い状態が保たれるように練られている印象だ。 Lopatinは、00年代中期~後期に探求したシンセシスから、遠く離れたところに辿り着いた。彼はビデオアーティストのNate Boyceをツアーに同伴させ、当時、純粋なアンビエントミュージックだったものにとって中核となる要素を提供するなど、早くから、より壮大な展望を表現してきた。それから数年後、Celticsと書かれた帽子をかぶった彼は、Sofia Coppolaの映画音楽を担当し、スタジアム級のアーティストと共にツアーを行った他、象徴的レーベルであるWarp Recordsとサインを交わして空前のアルバムを2枚制作した。OPNがメインストリームにも関わり合いながら、完全にオリジナルなサウンドであり続けていることは(そして、それが彼ならではの混沌とした面白半分なやり方で行われていることは)、彼をここまで導いたビジョンの強度を再び表している。
  • Tracklist
      01. Intro 02. Ezra 03. ECCOJAMC1 04. Sticky Drama 05. SDFK 06. Mutant Standard 07. Child of Rage 08. Animals 09. I Bite Through It 10. Freaky Eyes 11. Lift 12. No Good