Gesloten Cirkel - M-011 / M-012

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  • Gesloten Cirkelは常に素晴らしいレコードを作り続けてきた。2009年の傑作EP2枚に続き、昨年4月にMurder Capitalから発表されたのが、恐れ知らずのアシッドテクノアルバム『Submit X』だ。言ってみれば、「M-011」と「M-012」は傑作を絶え間なく生み出し続ける人物が生んだ傑作であることは、多くの人にとって周知の事実だろう。しかし、この2枚に収録された6曲のトラックで驚きなのは、Gesloten Cirkelの才能が最高潮に達しているかもしれないということだ。 その好例は「M-011」を締めくくる"Never"だ。ダーティーなハーグアシッドに透き通る朝露の感触、というあり得ない組み合わせの14分に及ぶテクノだ。303による澱んだ展開と切り裂くハイハットを凍てつくシンセが徐々に変化させ、トラックを何度も再起動しているかのような場面が数回訪れる。対照的に『Submit X』にデジタル限定で収録されていた長尺トラック"Where's Your Cash"では、ひとつの方向に向かって頑なに掘り進んでいる。 Lil' Louisを参照していると思われる酩酊したスポークンワードを伴った"The Real Melmourne House"では、がっしりとしたシカゴハウスのシャーシにZomby風ブリープ音と唸るシンセループが組み合わされている。同トラックはドラマチックであると同時にふざけており、飛び込んでくるウェアハウス仕様のアシッドラインがその感覚をさらに強調している。こうした場面において、Gesloten Cirkelは珍しく音楽的技巧を披露している。テクノは彼にとって母国語のようなものであり、ちょっとしたジョークを挟み込むのは至極当然に感じられる。 "Stakan Acid"での機械の戯れから、「M-012」の1曲目"Chasing Away The Night"(このトラックも『Submit X』に呼応している)における巨大なメタルリフまで、Gesloten Cirkelはいつものシリアスなサウンドを使って、色彩豊かな高密度のパターンにアレンジしている。"Perron"では、キックの周りでタイトにループするナンセンスなボーカルが、「シンプル」と「キャッチー」の両面で凄まじい効果を生んでいる。それと同じことが「M-012」の大部分に対して言えるかもしれない。Jacob Korn & Sneakerの"Heretonomous"をリミックスした"Chasing Away The Night"は特にそうだろう。Gesloten Cirkelのアシッドサウンドを原動力にしたエンジンによって、原曲の豊かでシルキーなシンセにべっとりとグリスが塗られ、粉々に粉砕される。そして、ボーカルは消えたかと思った瞬間、クロスフェーダーでカットしているかのように飛び回り始め、トラックに再び活力を与えている。その声が何と発しているのかを判断するのは難しいが、即座にその威力を発揮している。
  • Tracklist
      M-011 A1 The Real Melbourne House A2 Acid Stakan B1 Never M-012 A1 Chasing Away The Night B1 Charming B2 Perron
RA