Ron Trent - Rawax Aira Series Vol. 2

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  • 2014年、ダンス・ミュージックの制作に大きな影響を与えた名機であるTB-303やTR-909を元に、Rolandによって新たに生まれ変わらせたAIRAシリーズが送り出された。過去の名機が非常に高値となり手に入れづらい状況になっていた中で、AIRAシリーズはそれらを持っていなかった音楽家の意欲を刺激するだけでなく、予てから名機を愛用していた音楽家にも新たなる制作意欲をもたらす事となり、制作のみならずライブセットにも組み込まれる等活躍の場を見せている。 そんなAIRAシリーズを用いて楽曲を作るシリーズがRawaxにより企画されており、その第一弾はRicardo VillalobosとOskar Szafraniecが抜擢され注目を集めたが、続いてそのシリーズに抜擢されたのがシカゴ・ハウスの巨匠であるRon Trentだ。何と"Altered States"を含む彼のデビュー作もTR-909等の機材を用いて制作されたそうであり、その意味では彼にとってはAIRAは懐かしくも新たなる楽器としての存在であり、彼自身と楽器の両者が成長した上での成果が新作において結実している。 本作で用いられたのはTR-8とVT-3だそうで、リズムとボーカル・サウンドにその特徴は現れている。カタカタした乾いたリズムとパーカッションで軽快に始まる"Deep In The Stars"は、Trent自身によるボーカルにぼかされたエフェクトが施され、そして華麗な光沢を纏った美しいパッドやシンセが飛翔するように伸びる壮大なディープ・ハウスだ。自由に舞い踊るシンセソロは高揚感に溢れ、ふわっと加工されたボーカルは幻想的でもあり、期待通りの彼らしい優美な世界観が確立されている。一方で"Rock The Box"はやや粗い質感のリズムが際立っており、そこにアシッド的な音もスパイス的に添えられながら、やはりしなやかで艶のあるシンセが鮮やかな色彩を見せるロウながらも爽快なディープ・ハウスになっている。また、ここでもVT-3を用いて加工されたロボット・ボイス的な声が活きており、VT-3は元々声ネタも得意とするTrentの作風により豊かさをもたらしているようだ。結果的に見れば両曲とも正にTrentらしい壮大なディープ・ハウスである事は間違いないが、それはAIRAが彼の作風に既に違和感無く馴染んでいる事を示しており、AIRAの汎用性の高さも伺わせる。
  • Tracklist
      A1 Deep In The Stars B1 Rock The Box