Appleblim - Avebury

  • Share
  • Laurie Osborneは長きに渡ってUKダンスミュージックに欠かせない存在であり続けている。しかし、ShackletonとのSkull Discoの運営、もしくは、数多くの仲間(そのいくつか挙げるならば、Peverelistや、Komon、Geiomなど)との制作コラボレーション、そのいずれにせよ、通常、彼の影響は他の何かを通じて届けられる。2013年に彼が発表した待望のソロデビューEP(英語サイト)は、彼の偉業を反映することの無い平凡なハウストラック3曲が収録され、期待外れの印象に終わった。それから2年が経ち、AppleblimがTempaに帰ってきた。そのEPは、ダブステップのレーベルであるTempaがこれまでに携わってきた中で、最もいびつなものであることは間違いない。さらに重要なのは、この2年間でOsborneがリリースしてきたいかなるサウンドよりも、彼特有のダークな一面が素晴らしく提示されていることだ。 「Avebury」はイングランドの南西部にある新石器時代の遺跡名だ。本作は、Julian Copeの『The Modern Antiquarian』(英語サイト)に触発され、Osborneがこの場所を訪れた際の記録である。そして、独自の手法により、イギリスの先史時代に取りつかれたオカルトなブリティッシュ・フォークミュージックが持つ豊かな歴史に加わる作品だ。1回目の視聴では、"Avebury"は徐々に変化する高密度のトラック、といった印象で、Osborneが近年発表している作品のきらびやかなハウスとはかけ離れている。トラックの中核にはガラージの鼓動が感じられるが、溶岩が流れるような展開は、Luke AbbottやNathan Fakeといったイギリスのドリーミーなアーティストを彷彿とさせる。水晶のように透き通ったシンセアレンジにより、這うようにゆっくりとした動きにざらついたテクスチャーを加えている。ウェストケネットの埋葬室で録音したドラムサークルとフィールドレコーディングも用いられている同トラックは、Appleblimが制作した音楽の中で最も非凡だ。 逆サイドにはビートレストラックが2曲収録されている。おぼろげで霞んだ感覚のモチーフを伴った"Auburn Blaze"は、素晴らしいアンビエント作品だ。Wandered"では、"Avebury"と同じ独創的な領域に踏み込んでいる。音楽というよりテクスチャーに近く、意識を完全に魅了する10分間は、Osborneのフィールドレコーディング技術にスポットライトを当てている。メロディの塊が個別に過ぎ去っていくにつれ、おぞましい廃墟と太古の世界が思い浮かぶ。Osborneは素晴らしいDJであり、確かな腕を持ったクラブミュージック・プロデューサーであるだけでなく、実験的な一面を持った先進的なアーティストであることをこのトラックには再認識させられる。Skull Discoは遠い昔の記憶になっているかもしれない。しかし、『Avebury』はAppleblimにとってエキサイティングな新時代の到来を示唆している。
  • Tracklist
      A1 Avebury B1 Auburn Blaze B2 Wandered
RA