Gonno - Remember The Life Is Beautiful

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  • Gonnoによるセカンド・フルアルバム『Remember The Life Is Beaufiful』は、そのタイトル通りの仕上がりだ。本作は夢心地なハウスとバレアリックなアレンジによって饒舌に音楽を表現しているが、軽薄な楽観主義を一気に押し付けている訳ではない。本作には複雑さや多様性、奇抜さ、そして、深みがある。トラックリストに目を通してみてほしい。"The Worst Day Ever"は精神的に浮遊感を得ることで停滞状態を乗り越えているようなトラックだ。"Confusion"における方向感覚を麻痺させる動きと一定して刻まれる鼓動は、目まぐるしい都市の混沌を映し出している。そして、"The Island I've Never Been"は文明社会から遠く離れた場所への逃避行を思い描いているかのようだ。"Already Almost"では、フリーフォームな制作手法や難なく漂流してみせるあたりに、偶発性が持つ美しさをたたえているような印象が感じられる。シンプルに言えば、Gonnoが瑞々しいシンセや繊細なギター、陽気なリズム、そして、出所不明のフィールドレコーディングによるタペストリーを織り上げていく時、彼はいい状況でも悪い状況でも祝祭のような響きに変えてみせるのである。 『Remember The Life Is Beautiful』には興奮の中にも小休止する場面がいくつかあるが、決して退屈に陥ることはない。収録曲が5分を下回ることは滅多になく、ドラムパターンやメロディアスなシーケンスの勢いに乗ってためらうことなく惰行している。Gonnoは虎視眈々と好機をうかがってトラックを展開させているが、言ってみれば、それはやって来るハーモニーのインパクトを強調するため、もしくは、挿入目前に迫ったベースラインを焦らすためだ。多くのトラックは豊かな万華鏡のようであり、サウンドがきれいに渦巻く様子に耳を傾ければ、焦らされる悦びを得ることができる。"Stop"やスペーシーなディスコトラック"Revoked"は、地中を潜っているかのような激しい展開にも関わらず、Gonnoは"ACDise #2"のような盛り上がり必至のフロアトラックを繰り返し制作するようなことはしていない。それにかわり、彼は今年前半の"A Life With Clarinet"で見せた多様性に比重を置いている。 本作は空想家のためのダンスミュージックだ。したがって、時としてさまようこともある。例えば"Stop"は、他の収録曲とは異なり、Jon Hopkinsのようなダークテクノ空間の中で意識の深い部分に潜り込んでいく。このトラックは序盤(3曲目)に収録されており、それ以降『Remember The Life Is Beautiful』は同系統のトラックを収録していないため、このトラックは珍しいというよりも場外れ的な印象になっている。一方、どんよりとした冷たい空気が漂う"Across The Sadness"はいい仕事をしており、活き活きとしたハウスのリズムとシンセのきらめきに、シューゲイズギターのチョーキング音を少し加えている。対照的に"Green Days"がアルバムを締めくくる時、笑顔溢れるトラックからはそれまでの活き活きとしたソウルを覆しているような印象を受けるが、同時に暖かくリスナーを送り出すように機能している。もしアルバム全体がこの手のサウンドばかりであれば、狙い過ぎな印象を与えていただろう。Gonnoの親しみやすい奇抜さと屈託のない感性は少しくらいが魅力的だ。
  • Tracklist
      01. Hippies 02. The Worst Day Ever 03. Stop (Album Version) 04. Confusion 05. Beasts In Your Mind 06. Across The Sadness (Album Version) 07. Already Almost 08. Revoked 09. The Island I've Never Been 10. Green Days