Mr Raoul K - Break Your Chains And Return To Botswana

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  • 南アフリカ出身で現在はドイツにて活動をするMr Raoul Kは、その出身地の特性を活かすように民族的な音色や原始的な胎動をディープ・ハウスに交えて、自らのルーツと現在のダンス・ミュージックの融合を図っている。昨年には3枚目のアルバムとなる『Still Living In Slavery』を発表し、揺るぎない自身の個性の確立に至っているが、そこからの派生となる本作は意外なるアーティストの出会いにより新たなるファンを掴む事になるかもしれない。なんと本作にはKompaktにてKaito名義でも活動をするHiroshi Watanabeがリミックスを提供しているのだ。実は元々Mr Raoul Kと交流の深いKuniyuki Takahashiの紹介により両者が繋がったそうで、ジャンル的には普段は交わるような印象は無かった両者がここで邂逅するのは、音楽的に意外性がありつつも興味深い。 アルバムからカットされたのは雄叫びや民族的なパーカッションが交錯するトライバルな"Break Your Chains And Return To Botswana"で、本作ではMr Raoul K自身もパーカッションを更に強調した"Mr Raoul K's Percussions Version"を手掛けている。メロディーよりはリズムを中心とした構成で、生命力が溢れ出すような豊かなパーカッションと遠くで聴こえる雄叫びが土着的な躍動を生み出しつつ、徹底してDJツール的な機能性を重視した展開はミックスされる事で映えるのは間違いない。対してHiroshi Watanabeによる"Kaito Remix"は原曲のアフロなフィーリングも残しつつ、やはりKaitoらしい重層的に繊細なシンセのメロディーを導入して疾走感のあるテック・ハウスへと仕上がっている。アフロながらもより直線的で勢いのある4つ打ちのグルーヴ感、そして薄っすらと伸びる電子音は優しい温かみに溢れており、原曲のライブ感は損なわずに見事に壮大なKaitoサウンドへと生まれ変わっている。曲を聴くまではMr Raoul Kの曲をKaitoがリミックスした事に謎が募るばかりだったが、蓋を開けてみれば奇を衒う事もなくKaitoらしさが実直に表現されていたのである。
  • Tracklist
      A1 Kaito Remix B1 Mr Raoul K's Percussions Version
RA